中野麟太朗がメジャーの舞台で存在感を発揮している(撮影:鈴木祥)
<BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ 3日目◇6日◇宍戸ヒルズカントリークラブ 西コース(茨城県)◇決勝=7464ヤード・パー71> 22歳のルーキー・中野麟太朗が、最終18番でチップインバーディを決め、会場を大いに沸かせた。
【写真】カッケー! 中野麟太朗が愛用する“やさしい”2番アイアン
9位で迎えたムービングデー。6バーディ・3ボギーの「68」で回り、トータル4アンダー・5位タイに浮上したが、その表情には悔しさもにじんでいた。出だしの1番をバーディとするも、その後は3つのボギーを喫して前半を折り返し。「半分諦めでした。流れに乗る感じの自分が出てこない。また出直しかな…みたいな」と肩を落としながら振り返った。 流れを変えたのは「どうにでもなれ精神」という開き直りだった。後半12番でバーディを奪うと、13番でも連続バーディ。「次も狙っちゃおうかな、行けるところまで行ってみようかな」と前向きな思考へと切り替わった。15番、そしてこの日最難関だった17番パー4でもバーディを奪取。締めくくりは18番のチップイン。後半はボギーなしの5バーディと一気にスコアを伸ばした。 17番はグリーン手前に池が広がる難ホール。ピンは中央でも池寄りに切られ、手前から攻めればバックスピンで池に戻るリスク、奥につければ強い下り傾斜が待つ。“ちょこん”と打っても加速してしまう。理想はピンハイか手前からの上りのラインだ。 中野は163ヤードを9番アイアンで放ち、「正直、取れると思った」と狙い通りのショットでピン手前にオン。きっちりバーディを奪った。さらに18番のアプローチも「これはチップインですね」とキャディさんと話し、イメージ通りに沈めてみせた。強気な“予言”が、そのまま結果につながった。 もともと目指していたのは冷静沈着なプレースタイル。しかし「僕はあまり向いていない」と気づいた。気持ちが切れたとき、「お通夜」状態に陥ってしまい、黙り込んでしまったという。その際、キャディの鈴木理恵さんから「『どんどん行こうよ。もう行けるところまで、下に落ちちゃおうよ』。みたいなニュアンス」の言葉に背中を押され、好結果につながった。 「優勝戦戦に少しだけ戻ってこられた。またお通夜にならないようにしたい。明日はこんな雰囲気になれるかわからないですけど、きょうはホントによかったです。きのう(のスコアは)“大完璧”って言ったんですけど、きょうは“超完璧”です」と笑顔を見せた。 首位と5打差で迎える最終日。この舞台での最終日は「いつもドラマみたいなことが起きている」印象がある。「すごく難しいのが来るんだろうなと思って、あまり自分に期待せずに頑張ります」と話した。すべてのホールの難易度が高い宍戸CCは、何が起こるか予測ができない。 2003年から同コースで開催されているこの大会では、逆転優勝はこれまでに9度。最大は5打差で、04年のS・K・ホ、18年の市原弘大が達成している。この記録に名を連ねたい。さらに、中野が優勝を果たせば、今年の「日本プロ」での細野勇策に続く、史上32人目の日本タイトルでのツアー初優勝者となる。22歳が大舞台で記録に挑む。(文・高木彩音)