桑木志帆(右)と表彰式でツーショット。宮里藍が勝者を絶賛した。(撮影:福田文平)
<宮里藍 サントリーレディス 最終日◇14日◇六甲国際ゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6619ヤード・パー72>短いウィニングパットを桑木志帆は、思わず“お先”でタップインしそうになった。「邪魔になるかなと…。でも、周りから『待ったほうがいい』と言われて、思い直しました」。はたから見ればしびれるような優勝争い。だが、本人は誰よりも冷静だった。「今回が一番落ち着いてプレーできた。最後まで感情の上下はなかったです」。控えめに両手を挙げて、大会アンバサダーを務める宮里藍の前での通算5勝を静かに喜んだ。
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宮里が国内女子では史上2人目のアマチュア優勝を達成した2003年に桑木は生まれた。「藍さんはテレビの(中の)人でした。ずっとテレビで見ていました。日本の選手がアメリカに行けるのは、藍さんが(米ツアーで)優勝したから。先駆者というか、藍さんの背中をみんなが追って、アメリカに行っている。すごい先輩です」。表彰式ではその宮里にチャンピオンブレザーを着せてもらった。「いいプレーだった。おめでとう。アメリカでも全然、戦えるよ」と声もかけてもらった。国内15勝、海外9勝。世界ランク1位の座に就いたこともある偉大な先輩からの祝福は、72ホールをトータル19アンダーで戦い抜いた勝者には何よりのご褒美だった。前週の「全米女子オープン」で14位に入り、桑木の心の中で劇的な化学反応が起こった。大会後に会見した宮里も、「海外メジャーから得られた自信や強さが優勝につながったと思う。海外メジャーに行けることの価値や経験が、活躍の幅を大きく広げることを目の当たりにした大会でした」と真っ先にそこにフォーカスした。優勝スコアは今季最多のアンダーパーとなった。大会直前の台風の影響による雨で、グリーンを硬く仕上げられなかったことが、バーディ合戦の大きな要因に。「トータルで考えるとまだまだ私の経験が足りない部分が出てしまいました」。コースセッティングも担当する宮里は猛省し、「飛距離が出て、ボールを止める技術のある選手が上位にきたイメージです」と話した。昨年は海外メジャーで大きな挫折を味わった桑木が、今年は海外メジャーで自信を取り戻して、バーディ合戦を制した。4日間で22バーディ・3ボギー。1ラウンドの平均パット数はフィールド2位の『25.75』で、3パットは一度もなかった。「桑木さんはライン出しがすごくうまい。全米帰りで疲れているなかでコースマネジメントも素晴らしかった。気持ちのコントロールができる選手です」。勝つべくして勝った23歳へ、元世界一は賛辞を惜しまなかった。(文。臼杵孝志)