異色の道を歩みプロテスト合格を目指す清水友莉耶(撮影:福田文平)
<日本女子アマチュア選手権 Presented by カープレミア 最終日◇19日◇北海道ブルックスカントリークラブ(北海道)◇6578ヤード・パー72>プロを目指す高校生、大学生、日本ゴルフ協会(JGA)のナショナルチームメンバーなど、全国のトップアマが集まる大会に、“異色の経歴”をもつ選手が出場している。清水友莉耶(しみず・ゆりや)。4年間の社会人生活を経て、今、本格的にプロゴルファーを目指している28歳だ。
【写真】これは珍しい! 『人力舎』のスポンサーロゴ
異色と言った点は、その“前職”にある。中京大卒業後、新卒で入社したのは芸能事務所「プロダクション人力舎」。そこでドランクドラゴン、おぎやはぎといった人気芸人や、俳優の遼河はるひの担当マネジャーとして、社会人生活を送っていた。「もともとマネジャーに興味があって、いくつか事務所を受けて人力舎に入りました。めちゃくちゃ充実していましたし、私の人生のなかですごい経験ができた4年間でした」そこまでの道のりも、決してゴルフ一色というわけではなかった。競技を始めたのは8歳から。だが中学1年生の時に、一度クラブを置いている。再開したのは、中京大に入学してから。4年間、ゴルフ部に在籍したが、「プロを目指すという感じではなかったし、内定もいただいたので、ゴルフはエンジョイにしよう」と就職の道を選んだ。タレントの愛車のハンドルを握り、現場から現場へ送り届けることもあった日々。目指していた仕事に励んだ時間は、今も大きな財産になっている。その当時はゴルフをするのは「年に2~3回程度」。大好きな仕事ではあったが、同時に徐々に“ある感情”が湧き上がっていることにも気づいていた。「(日本女子プロゴルフ協会の)プロテストを受けたことがなかったんです。あれだけゴルフをやってきたのに、プロテストを受けないのはどうなんだろうって思いはじめたんです」大学4年生の時、マンデートーナメントを通過し「中京テレビ・ブリヂストンレディス」に出場したことがある。これが初めてにして、唯一のレギュラーツアー出場経験。結果は予選落ちだったが、ぼんやりとここが“プロ”というものを意識した大会だったことも明かす。しかし、この時にはすでに内定が出ていたこともあり、夢は夢のまま胸にしまい込んで、ウェアからスーツに着替えた。そして現在、清水はプロを目指し再び本格的にクラブを握っている。父の後押しもあり、「プロゴルファーになりたい」という気持ちを伝え2024年2月に人力舎を退社した。ただ社長はじめ、同社がその挑戦を応援していることは、スポンサーとしてキャップに『人力舎』というロゴをつけていることでもうかがえる。試合勘を取り戻そうとした“復帰1年目”は、とにかくラウンド数をこなしてブランクを埋めることに努めた。この年のプロテストは2打足らず1次予選で敗退したが、「“めっちゃやばい”というわけでもないなと、少しポジティブになれた」。そして、2年目の昨年は最終まで進出。59位で合格には手が届かなかったが、またひとつ自信を深めた。「去年はずっとフワフワした気持ちで、まさか最終まで行けるとは思ってなかった。もちろん受かればよかったですけど、どこかで自分の実力の無さが出るとも思っていた。去年はいい経験と考えて、今年は考えながらやっていければと思っています」「このクラブに出会ってからよくなった」と、タイトリストの『GTS2』と出会ったことで、飛距離もアップ。「キャリーで230ヤードくらいに伸びました」。大学時代はトータル240ヤードほどで、「今が一番、飛んでいます」と胸を張る。そして現在のベストスコアは、去年の最終プロテスト前にJFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部 (岡山県)を回った時の「66」。ともに学生時代の記録を更新しており、それも大きな伸びしろを感じさせる。25歳以上のアマチュアNo.1を決める「日本女子ミッドアマチュア選手権」では24年、25年と2年連続で2位。今年もそこで得た資格で、この日本女子アマを戦っている。現在は地元・愛知県の三好カントリークラブの練習生としてキャディなどを務めながらプロを目指す日々。人力舎時代に担当していたタレントたちも、その動向を気にかけ、事あるごとに応援の言葉をかけてくれるという。「いい報告ができるように頑張ります」。昨年、最終まで進んでいるため2次予選から始まる今年のプロテストでの合格は、恩返しにもなる。女子アマチュアゴルファー日本一決定戦でも、しっかりと決勝まで残り4日間を戦っている。力みのない美しいスイングからは、快音が響く。3日目終了時点の順位は45位タイ。最終日はひとつでも上を目指す。そしてこの北海道での4日間が終わると、間もなく今年もプロテストの季節がはじまる。(文・間宮輝憲)