長澤愛羅(中央)が“ナショチ”メンバーとの激闘を制した(撮影:福田文平)
<日本女子アマチュア選手権 Presented by カープレミア 最終日◇19日◇北海道ブルックスカントリークラブ(北海道)◇6578ヤード・パー72>最終組の1組前からスタートした長澤愛羅(日本ウェルネススポーツ大1年)は、優勝が決まる瞬間を、アテスト(スコア提出)会場に設置されてる大型テレビの前で見守っていた。勝利が決まると、室内にいた人たちからは拍手が起こり、他の出場選手とグータッチしながら“控えめ”に喜んだ。
【写真】目を引きます 長澤愛羅と言えばこの髪型
「アテストが終わってからもまだ緊張していて、みんなから『おめでとう』と言ってもらっている時も、ちょっと心臓がドクドクしていました。やったーというよりはホッとした気持ちが大きかったです」これが女子アマチュアゴルファー日本一を決めるタイトルの重みだ。2022年には「日本ジュニア(12歳~14歳の部)」、そして24年には同大会の15歳~17歳の部を制し、これが3つ目のアマチュア日本タイトル。それでも「優勝したい」と願ってきた、この大会での勝利は特別なもの。「日本一を決める大会なので」という言葉が、すべてを物語る。「緊張はあまりしない」というが、この日はラウンドが終盤に進むにつれ胸の高鳴りを感じたという。2打リードの首位だと知ったのが17番のティショットを打つ直前。それでも「後ろの組も伸ばすだろうから、17番は絶対にバーディを取りたい」と、その情報でさえ“余裕”ではなく“緊張”を生み出した。するとここでのドライバーショットは右へ曲がり、カート道付近へ。「ピンまで残り260ヤード。5番ウッドで、3打目は50ヤードくらい残るかなと思ったら、グリーンエッジまで飛んで行きました。キャディさんと『アドレナリンが出たね』とか話していました」。この後、25ヤードのアプローチを寄せ、思惑通りのバーディ。結果的に、勝利を決定づけたホールでもあった。
昨年味わった悔しさを糧にして、プレッシャーを乗り越えた。ルネサンス高3年生だった昨年、初めて挑んだ日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の最終プロテストでは、合格まで5打及ばずに涙をのんだ。「調子も悪くなく挑んだんですけど(不合格で)、メンタルに課題があると思いました。そこからはメンタルの先生とかに相談して、そこは成長できたかなと思っています」。独特の雰囲気に包まれ、実力だけではないものが試される場での挫折が、今につながっている。そして今年、2度目のプロテストが控えているが、この1勝がもたらす影響は大きい。「難しいコースで(トータル)12アンダーで回れたのは自信になります」。昨年同様に、今年も1次、2次予選は免除で、最終テストから出場ができる。ただ、そこでの合格を“目標”にはしない。「今まではプロテスト、プロテスト…って考えていて、それがプレッシャーになっていた。今は、目の前のコースでアンダーを出すことが目標です」。3日目を終えトップに立っていた廣吉優梨菜(福岡第一高2年)、岩永杏奈(大阪桐蔭高3年)と2打差からスタートし、「66」をたたき出しての逆転は強さの証し。同じナショナルチームで汗を流す“仲間”との優勝争いも刺激になった。「みなさん上手だし、きょうは絶対に伸ばさないといけないと思った。本当にいいライバルです。普段は一緒に合宿とか練習をしていますが、普段一緒だからこそ勝ちたい気持ちがありました」。切磋琢磨がもたらした優勝でもある。この勝利により、10月の「日本女子オープン」(兵庫県・宝塚GC 旧コース)出場権も獲得した。「まだアプローチとパターが課題なので克服したいですね」と、今後、取り組んでいくことも明確にある。おっとりとした口調で、自己分析する性格は「マイペース」。将来は「みなさんに愛されるプロゴルファーになりたい」と話す18歳が、67回の歴史を誇る大会にその名を刻んだ。(文・間宮輝憲)