PGAツアーはここから来季を見据えた戦いに入っていく(左から松山英樹、久常涼、スコッティ・シェフラー、ローリー・マキロイ)(撮影:GettyImages)
米国男子ツアーはいよいよ佳境に入っていく。今月は「全英オープン」がロイヤル・バークデールGCで16日(木)から開催される。そして全英が終わるとレギュラーツアーは残り3試合を消化し、年間王者を決する最終戦の「ツアー選手権」を含めたプレーオフシリーズ3戦で、いったんシーズンを締めくくる。
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9月から始まるフォールシリーズは実質、翌シーズンの出場権争いとなるため、一部の例外を除けばトップ選手が出場するのはツアー選手権が最後となる。最終戦まで残り2カ月を切ったいま、今季ここまでを振り返り、今後の流れをおさらいしよう。■絶対王者が1勝のみ それでも際立つ強さハワイから始まったシーズンでは、2戦目でいきなり絶対王者が強さを発揮した。「ザ・アメリカンエキスプレス」でツアー通算20勝目を飾り、今季の活躍も期待された世界ランキング1位のスコッティ・シェフラー(米国)だったが、その後は未勝利の時間が続いている。2週前の「全米オープン」では最終日最終組で惜敗。先週の「トラベラーズ選手権」でもプレーオフで敗退と決して“不調”ではないものの、詰め切れない試合が続いている。ここまで14試合出場で優勝1回、2位が4回、3位にも2度入っており、ツアートップの成績を維持。開幕3試合は優勝、3位、4位と好調だったが、3月に停滞。「アーノルド・パーマー招待」で今季最低順位の24位。続く「ザ・プレーヤーズ選手権」でも22位と波に乗れず。それでも「マスターズ」から出場3試合連続で2位に入るなど、勝利への期待が膨らんだ。平均ストロークも「68.901」でただ一人68台とあって、かみ合わせの問題ともいえる。他選手と比較したスコア貢献度を示すストロークスゲインドも1位、年間ポイントランキングでも首位を走る中、全英を含めたシーズン終盤をどのように乗り切るか注目される。■メジャー大会では偉大な記録が誕生前半戦で大きな話題となったのは、マスターズで連覇を果たしたローリー・マキロイ(北アイルランド)だ。キャリアグランドスラムを達成した昨年のマスターズで11年越しの悲願達成。肩の荷が下りたマキロイは今年、史上4人目の快挙を成し遂げた。ジャック・ニクラス(米国/1965、66年)、ニック・ファルド(イングランド/89、90年)、タイガー・ウッズ(米国/2001、02年)に続く大記録を打ち立てたマキロイだが、その後は「全米プロ」、全米オープンを含め出場は4試合のみ。2週後の全英、プレーオフシリーズに向けてどこまで調子を上げるのか。全米プロでは伏兵がメジャー初制覇を成し遂げた。イングランド出身のアーロン・ライが逆転で優勝。それまでメジャーでのトップ10は一度もなし。両手グローブに加え、アイアンカバーも使用する一風変わった31歳のライにとっては、米ツアー2勝目がビッグタイトルとなった。全米オープンでは2023年大会覇者のウィンダム・クラーク(米国)が第1ラウンドからの首位を守り切り、完全優勝を達成。前年大会の“ロッカー破壊事件”を発端に問題行動も指摘されていたクラークは、ニューヨークのファンから厳しいヤジを受けながらも、なんとか逃げ切って見せた。■シグネチャー大会はすべて終了今や存続も危ぶまれるLIVゴルフだが、その対抗策として2023年から始まった高額賞金のシグネチャー大会(昇格大会)は、全8試合が先週のトラベラーズ選手権で終了した。出場選手は前年のトップ50に加えて、今季好調な選手のみが戦う資格を得るエリートフィールド。賞金総額2000万ドル(約32億円)、優勝賞金は軽く5億円を超えるこのビッグイベントでは、米国勢とノルウェー陣が強さを見せた。【シグネチャー大会優勝者】●AT&Tぺブルビーチプロアマ:コリン・モリカワ(米国)●ジェネシス招待:ジェイコブ・ブリッジマン(米国)●アーノルド・パーマー招待:アクシャイ・バティア(米国)●RBCヘリテージ:マシュー・フィッツパトリック(イングランド)●キャデラック選手権:キャメロン・ヤング(米国)●トゥルーイスト選手権:クリストファー・レイタン(ノルウェー)●メモリアル・トーナメント:J.T.ポストン(米国)●トラベラーズ選手権:ビクトル・ホブラン(ノルウェー)絶対王者のシェフラーは1勝も挙げることなく終わったが、RBCヘリテージとトラベラーズ選手権で2位、AT&Tぺブルビーチで4位と上位でフィニッシュ。ポイント配分の高い試合で稼いでいるのがわかる。注目すべきはノルウェー勢の活躍。トゥルーイスト選手権を制したレイタンは、同国2人目の米ツアー優勝者となった。第一人者はいうまでもなく、シグネチャー最終戦でシェフラーをプレーオフで倒したホブラン。23年にはツアー選手権の勝利をもって年間王者に輝いた実績を持つホブランと新鋭のレイタンはともに28歳。米ツアーでの存在感が一気に高まった。
■苦戦が続く日本のエース 新世代も台頭2014年から米ツアーに本格参戦し、今年で13年目。世界を代表するトッププレーヤーとして獅子奮迅の活躍を見せてきた松山英樹にとっては苦しいシーズンとなっている。今季はここまで16試合に出場し、優勝はおろかトップ10が2回のみと、苦戦を強いられている。シーズン初戦となった1月の「ソニーオープン・イン・ハワイ」で13位タイと上々の滑り出し。「ファーマーズ・インシュランス・オープン」では初日に「64」をマークするなど11位タイに食い込んだ。その流れに乗って、相性抜群の「WMフェニックス・オープン」ではプレーオフに進み、惜しくも敗れたものの来たるメジャーシーズンに向けて期待が膨らんだ。2度目の栄冠を目指したマスターズでは12位タイに入ったが、これが4月以降のベストフィニッシュ。上位争いから遠のく試合が続き歯がゆさが残るなか、気になるのは最終戦への進出だろう。ポイントランキングトップ30のみに出場が許された大会に、デビュー年から9年連続で出場した。23年のケガによって連続出場が途切れたものの、24、25年は復活。過去12年で11回の出場を果たしている。今季は現時点でランキング35位。最終戦を含めた全3試合のプレーオフシリーズ進出(レギュラーシーズン終了時のトップ70)は安全圏だが、2戦目終了時点で30位に入らなければ、そこでシーズン終了を迎えることになる。米ツアー3年目の久常涼にとっては、初優勝も見える戦いが続いている。シーズン3戦目のファーマーズ・インシュランス・オープンで惜しくも2位。自身米ツアーベストを更新すると、その後もトップ10に3度入った。5月以降は調子を落としているが、ポイントランキングはここまで43位と、こちらもプレーオフ進出はほぼ確実だ。プレーオフ初戦を終えてトップ50が2戦目に進出。ここまでくれば来季のシグネチャー大会の出場も確定となるだけに、自身初となる最終戦、来季のビッグイベント進出に向けて、ここから結果を求める戦いが続く。■気になる来季出場権の行方メジャーやシグネチャー大会といった華やかな舞台がツアーを彩った一方で、現実的な問題に直面している選手も多い。ここからは来季の出場権をかけた争いも熱を帯びるが、ここには日本勢3人も絡んでくる。金谷拓実、中島啓太、平田憲聖の3人にとっては、来季出場に向けて正念場が続く。レギュラーシーズン最終戦の「ウィンダム選手権」(8月6~9日)終了時点でポイントランキング70位に入れば、プレーオフ進出と来季の出場権は確保。ここから漏れても9~11月までのフォールシリーズ全8戦での挽回は可能で、最終戦の「ザ・RSMクラシック」終了時点でトップ100に入れば来季も出場はかなう。ただ、現時点で金谷、中島、平田の状況は厳しい。7月1日時点で金谷は131位、中島は144位、平田は153位とポイントランキング下位に低迷している。3人が出場できるレギュラーシーズンイベントは残り6試合。プレーオフシリーズ進出に必要なポイントを稼ぐのと同時に、少しでも順位を上げて秋以降の戦いも見据えていくことになる。◇今季メジャー最終戦の全英オープンを制するのは誰なのか。3試合のプレーオフシリーズに進出するのは? 年間王者の称号は誰の手に。そして、来季に向けてし烈な秋の戦いに突入する選手たち。28年以降はツアーを二分し、上位カテゴリーと下位カテゴリーに分かれることが発表されたばかり。トップツアーでプレーするためには、少しでもいい位置で来季に入る必要がある。それぞれの思惑が交錯する戦いがクライマックスへと向かっていく。