9年ぶり優勝を狙った永井花奈だが、最後はルーキーの前に敗れた(撮影:米山聡明)
<資生堂・JAL レディス 最終日◇5日◇戸塚カントリー倶楽部 東コース(神奈川県)◇6487ヤード・パー72>大混戦となった最終日。17番で1打リードを奪った永井花奈は、9年ぶり2勝目が目前に迫った。しかし最終18番でボギー。トータル12アンダーで7人が首位に並び、1984年「美津濃トーナメント」の6人(優勝は小田美岐)を上回る、史上最多7人によるプレーオフ(PO)にもつれ込む記録的な試合になった。
【写真】優勝を決めて涙を流す倉林紅
PO2ホール目で唯一、バーディを奪ったルーキー倉林紅のツアー初優勝で幕を閉じた。復活Vが目前に迫っていた永井は、「自分で流れを落としてしまったところがもったいなかった」と肩を落とした。首位タイから出た永井は、2番でティショットを右に曲げるなどボギーが先にくるも、4番からの3連続バーディで息を吹き返す。8番では1メートルのバーディパットを沈めて単独首位に躍り出た。しかし、9番で2打目をバンカーに入れるなど「もったいないボギー」をたたくと、バーディを奪ったアマチュアの長澤愛羅に単独首位の座を奪われた。長澤が10番でダブルボギーとしてスコアを落とすと、ここから大混戦が始まる。最終組の10組前で回った神谷桃歌が「64」で回り、トータル12アンダーでホールアウト。最終組は停滞気味でトータル12アンダーから抜け出す選手が出てこない。気がつけば4人、5人と12アンダーフィニッシュの人数が増えた。17番でバーディを奪った永井が単独首位に立った。18番は「ティショットが大事になる」と振ったが、右に曲げる。ツマ先下がりのラフからの2打目。「ここで決めきりたいと思っていた。花道方向から転がり上がるイメージ」で打ったが、ライの影響か思ったよりも右に打ち出してしまい、右手前のバンカーへ。7メートルほどのパーパットを決められなかった。「プレーオフにしちゃった時点で流れは悪く、厳しい状態かなと思っていたんですけど、全力で頑張りました」。PO2ホール目、5メートルほどのスライスラインのバーディパットはわずかにカップの右を抜け、今季3度目の2位で終わった。敗戦後はショックを隠せなかったが、「全体的には調子は悪くないと思う。反省するところは反省すべきですけど、引きずらず来週いいゴルフができればチャンスはあると思うので、切り替えたい」と前を向いた。PO7人のうち、優勝経験があるのは永井と菅楓華のみ。メルセデス・ランキング4位につける菅だが、初めてのプレーオフは1ホール目で唯一のボギーを喫し、早々に脱落した。PO1ホール目の2打目は、正規の18番の2打目と距離はほぼ同じ。正規は9番アイアンで打ちグリーンの奥まで飛んだため、1番手下げてピッチングウェッジを握ったが、「当たりが薄かった」と15メートルにオン。3パットで悔しい敗戦だが、「すごく緊張しました。またいい経験になりました」と、今後の糧にする。初優勝を狙ったプロはキャリアハイの結果で、それぞれの満足感を表した。ホールアウトから1時間30分以上クラブハウスで待った神谷桃歌は、「みんなもっと伸ばすかなと思っていた。勝てなくすごく悔しいですが、一日を通していい経験ができた」。ルーキーの前多愛は、「プレーオフは初めてだったのでどうなるかと思ったけど、楽しく最後まで戦えたのはよかった。初日のスタートホールでダブルボギーでしたが、諦めずに一打一打集中していたらプレーオフまでこれた。引き続き、集中してやりたい」。プロ5年目の宮澤美咲は、「プレーオフが初めてで、最初のホールでパーオンできてバーディパットを打てたのはよかった。いつも苦手とする1メートルのパーパットを決めたことは自信がついた。プレーオフまで残れると思っていなかったので、また頑張りたい」と話した。史上9人目のアマチュア優勝を狙った長澤愛羅は、PO2ホール目で2メートルのバーディチャンスにつけたが決められなかった。「自分にプレッシャーをかけてしまった」と肩を落としたが、プロテスト合格に向けては自信をつける3日間となった。7人のうち6人は悔しい思いをしたプレーオフ。この経験をどのように生かして、悔しさを晴らすのか。次の優勝につながっていくことを注目したい。(文・小高拓)