多くの選手から慕われる“ボス”デービス・ラブIIIの意見は?(撮影:GettyImages)
「全米オープン」終了後の6月23日、PGAツアーの2028年からの大改革が発表されて以来、米ゴルフ界には賛否両論が巻き起こっている。
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大改革の柱となるのは、ツアー構造を「チャンピオンシップ」と「チャレンジャー」の二部制に編成すること。その間では、し烈な昇格・降格が展開されることになる。シーズン終了時にチャンピオンシップに留まることができるのはトップ90まで。チャンピオンシップは少数精鋭のトッププレーヤーのみで構成され、ゴルフファンの興味と関心は高まるばかりだと謳われている。しかし、これを聞いたシニア選手たちの反応が、実に多様で面白い。長年の知見に基づく意見ゆえ、“なるほど”と頷かされる面が多々あり、ベテラン選手だけのことはあると感心させられる。例えば、メジャー2勝を含む通算12勝の実績を誇るザック・ジョンソン(米国)は、「ここ数年も今も、PGAツアーは上下二部制みたいなものだ」と指摘する。シグネチャーイベントやメジャーといったビッグな大会に出場する上位選手と、ほとんど出られない下位選手にすでに分かれているのだから、二部制は大改革と呼ばれるほど目新しいものではないのだ、と。そのうえで、「スポーツの世界に上と下は常にある。そして有名選手やスター選手であっても、下に回ることがある。下から上を目指す方法が明確化されていることは、前進と言える」と評価もしている。大改革が「大改革」と呼ばれるほど目新しいものではないという意見は、実は案外多く聞かれている。「全英オープン」覇者で通算8勝のスチュワート・シンク(米国)も、「チャレンジャーはコーン・フェリーツアーの呼び名を変えて下部ツアーをもう1つ作り、三層構造にするだけのことだ」と受け取っている。
ローリー・マキロイ(北アイルランド)も、チャレンジャーのことを「要はコーン・フェリーだよね」と言い放ち、PGAツアーがすぐさま「いやいや、そうではない」と否定して、チャレンジャーの大会はコーン・フェリーツアーの大会より規模も賞金も格段に上であることを強調する場面が見られた。だが、いずれにしても、チャンピオンシップ、チャレンジャー、コーン・フェリーツアーの3層構造になることは間違いない。なぜ、わざわざ3層構造に変えるのか。それはツアー全体の競合性を高めるためだと言われている。28年からはすべての大会で予選カットが行われることも、今回の大改革のキーポイントで、それも競合性を高め、ツアーを真の実力主義に変えるためだと言われている。しかしシンクは、「そうだとすれば、チャンピオンシップに留まるのがトップ90というのは、ほとんどジョークだ。トップ60に絞らなければ(意味がない)」と指摘しているところが、手厳しくて面白い。それでは、米ジョージア州シーアイランドに居を構え、大勢の現役選手たちからリスペクトされる“ボス”的存在として慕われ、「全米プロ」覇者で通算21勝のデービス・ラブIII(米国)は、何と言っているのか。「若い選手たちから不満や不安をたくさん耳にしているが、発表された内容をあまり気にする必要はない。なぜなら、どうせ変わっていくから。フェデックスカップは私の現役時代に創設されたが、その後は毎年のように変更が繰り返されてきた。他のスポーツにおいても、新しく決定されたことは、年々、変更されている。モノゴトはみな変わる。ネバー・エンディング・ストーリーだ」フェデックスカップが今なお定着しなかったのと同様、この大改革も、導入・実施された後に、どうせ変わっていくはずだから、今から気に病む必要はないというラブの言葉には、あまりにも説得力が溢れていて、思わず苦笑させられた。モノは考えようということなのだろう。ラブが言う通り、28年からの大改革はネバー・エンディング・ストーリーの始まりなのだと思いながら眺めると、新生PGAツアーの見え方や景色は、少しばかり変わってくるのではないだろうか。文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)