ユ・ヘランがメジャー2勝目を飾った(撮影:GettyImages)
<アムンディ・エビアン選手権 最終日◇12日◇エビアン・リゾートGC(フランス)◇6479ヤード・パー71>この日、奪った唯一のバーディが、勝負の命運を大きく分けた。2週前の「KPMG全米女子プロ選手権」でメジャー初優勝を挙げたユ・ヘラン(韓国)が、メジャーを立て続けに制した。「まるでアニメのよう。歴史的な出来事がたくさんあって、非現実的な気分。言葉で表現するのは難しい。今はただただ幸せ」。すべてが夢見心地だ。
【写真】おめでとう! メジャー連勝で祝福のシャンパンシャワー
3日目に米女子ツアーのメジャー新記録となる「60」をたたき出して首位に浮上した。2位の岩井明愛に3打差をつけて最終日をスタート。有利な状況だ。しかも、3番パー4では、岩井がアンプレヤブルを宣言するトラブルでダブルボギーを叩き、後退。スコア上は、圧倒的に有利になった。しかし、思い通りにいかないのはこの25歳も同じだった。「パッティングがひどすぎた」。とにかく2~3メートルのチャンスが入らない。そうこうしているうちに、最初にスコアが動いたのは8番のボギー。そこからもパーを並べた。「“神様、どうかカップに入って…お願い”とばかり考えていた。どのホールでも、祈っているような気分だったわ」。そんななか、岩井が息を吹き返し、さらにブルック・ヘンダーソン(カナダ)が、7番パー5のイーグル、続く8番パー3でのホールインワンなどで駆け上がってきた。最終ホールに入った時は、トータル18アンダーでヘランと岩井が並び、1打差にヘンダーソンがつけるという状況。ヘンダーソンは2メートルのイーグルチャンスにつけ、岩井は2.5メートルのバーディチャンス、そしてヘランは4メートルのバーディパットを残した。「とにかくショートだけはしないように」。その思いで放ったボールが、ようやくカップに吸い込まれた。そして渾身のガッツポーズが飛び出す。「最後は、神様に感謝できた」。ここで岩井が外し、勝負はヘンダーソンとのプレーオフにもつれこんだ。その延長戦、最後は1メートルのバーディパットを決めて1ホールで決着。わずか3週間で2つのメジャータイトルを手にした。メジャー連勝は今年の「シェブロン選手権」、「全米女子オープン」を制したネリー・コルダ(米国)に続き、シーズン2人目。LPGAによると、間に平場大会を挟まないメジャー2連勝は史上初だという。母国の偉大な先輩にも肩を並べた。1シーズンでメジャー2勝を挙げた韓国勢は、パク・インビ、コ・ジンヨンに続いて3人目。「トロフィーには多くの偉大な選手の名前が刻まれているけど、そこに自分の名前が加わることができて本当にうれしい」。笑顔も弾ける。勝みなみ、西村優菜も受けた2022年の米予選会を1位で通過。23年から米国に主戦場を移し、同10月「ウォルマートNWアーカンソー選手権」で米初優勝を挙げた。そこから昨年までに3勝し、今年はメジャーで2勝を積み上げている。順調にキャリアを過ごしている。プレーオフが終わると、グリーン上に集まった仲間たちから、シャンパンで手荒い祝福を受けた。「2週間前はシャンパンだけだったけど、今週はシャンパンにエビアンが混ざっていたから、アメリカのシャンパンより香りが良かったかもしれないわ」。勝利の美酒は、何度飲んでも格別だ。(文・間宮輝憲)