ゴルフパートナー

ピン『G740』とダンロップ『ゼクシオ』の決定的な違いとは? 「やさしい鉄板アイアン」の選び分けを明かす専門店がある

2026/07/14 12:38

㈱ヴィクトリアの人材教育担当・藍川朋久氏に聞く

昨今、値上がりの激しい海外メーカー製クラブ。ドライバーだけでなく、アイアン選びでも「買ってみたが合わなかった」と嘆く人は少なくないはずだが、それを防ごうとする専門店がある。ヴィクトリアゴルフを中心とした『VGFS』設置店だ。クラブに精通したフィッターかつ人材教育担当でもある藍川朋久氏に聞くこの連載。 【画像】ピン『G740』をコースで構えるとこんな顔 『VGFS』とはVictoria Golf Fitting Systemの略で、クラブにセンサーを付けて試打するフィッティングシステムのこと。ゴルファーの【日替わりの調子】に左右されず、一人ひとりの振り方やフェース開閉のクセを可視化し、合うヘッドとシャフトを推奨。ヘッドもシャフトも物性を捉えた膨大なデータベースを持ち、そこから総合的にマッチ度を算出する仕組みだ。 今回は、アイアン選びで多くのゴルファーが陥りがちな「トウダウンの罠」と、メーカーごとに全く異なる「やさしいアイアンの設計思想」について、藍川氏に熱く語ってもらった。今週16日に発売を迎えるPINGの最新作『G740』と、王道のダンロップ『ゼクシオ』を比較しながら、失敗しない「やさしいアイアン選び」に迫る。 「前回までのドライバーと違って今回はアイアン選びですが、VGFSのスイング診断ではその人の『振り方の癖』が数字で分かります。トウダウンの多いタイプなのか、タメがほどけるタイプなのかなど、【やさしいアイアン選び】に参考になるため、ぜひVGFS設置店に相談してもらえれば」(藍川氏) ■ 手元がどれくらい浮くか? を数字で把握できる アイアンの中でも最大クラスの「やさしいアイアン選び」で特に重要になるのが、トウダウンの見極め。アドレス時とインパクト時における手元の浮き方の指標である「ハンドポジションの差をよく見たい」と言う。 「構えた位置からインパクトでどれくらい手が浮くかVGFSは数字で可視化します。この度合いはアイアンの重心距離の長さとも直結していて、手元がインパクトで浮くほどトウ側が下がる【トウダウン】が激しくなり、フェースが開いて右へ飛ぶ原因になります。 アドレスとインパクトで5度以上浮いてしまう方は、重心距離の長さに大きな影響を受けるタイプな可能性がありますので、そういった方はライ角の診断を受けることをオススメします。手元側を重くするカウンターバランスでも合わせることができますので店舗にて気軽に相談してください。」(藍川氏) よく「ドライバーとアイアンのスイングは別物」と言われるが、藍川氏は「基本的には同じ系統の『スイングDNA』になる人が大半です」と説明する。極端に変わる人はレアケースだからこそ、「PINGはウッドの直進安定性や重心設計の流れを、そのまま『G740』などのアイアンに表現している」と分析する。 ■ 本当の「やさしいアイアン」とは? ゼクシオとピンに見る二大潮流 では、市場に溢れる「やさしいアイアン」の正体とは何なのか。藍川氏に定義を尋ねると、【1】ヘッドサイズが大きく、【2】ロフトが適度に立っていて、【3】ソール幅が広く、【4】低・深重心、との要素を挙げていく。が、その先はメーカーによって設計思想が分かれるという。 「やさしいアイアンの代名詞といえば、昔から鉄板の『ゼクシオ』を筆頭にテーラーメイドの中空『790』、複合素材でやさしいスリクソン『ZXi 5』が挙がりますが、中でも最大サイズの『ゼクシオ』とPING『G740』は、同じ“やさしい”でも180度アプローチが違う。『ゼクシオ』はサイズの割に重心距離が長すぎず、重心角が非常に大きくフェースを返しやすく『つかまえやすい』設計で主にスライサーがターゲット。 一方『G740』は重心距離が長く、重心角はさほど大きくない。これはヘッド全体の直進安定性(高MOI)の高さで真っすぐ持っていく思想で、『G440K』ドライバーとも似ていますよね。極端に【つかまる】というより、ミスしてもブレづらい『当たりの安定感』を優先しています。ブレないウッドと一貫して流れで揃えたいという人は、アイアンも揃えて『G740』にする選択はかなり合理的だと言えます」(藍川氏) さらに、構えたときの見た目の【フェース高さ】にも、両者の対比が明確に出ていると藍川氏は解説する。 「『ゼクシオ』はロフトが28度と立っていますが、フェース高さをあえて高くすることで、上から打ち込む人にも安心感を出しています。対する『G740』も前作は26.5度だったのに今作は28度にして、シャローでスッキリした顔立ち。こちらは払い打ち傾向で、ダフリのミスが多い人に抜群のやさしさを発揮します。ご自身の打点がどちらにブレやすいかで、選ぶべきヘッドは180度変わるんです」(藍川氏) ■ ソールの「バンス」と「面取り」にも注目 ロフトは28度と同じで、フェース長は若干『G740』の方が大きめだが、黒さでコンパクトに見せている。また、設計思想の違いは、ソールの「バンス」や「面取り(削り)」の処理を見ると、さらに面白くなると藍川氏は目を輝かせる。 「『ゼクシオ』は日本の芝(沈みにくく、払って打ちやすい)を徹底的に研究しているため、バンスが小さく平らなソールをしています。これによって抜群の『座りの良さ』で、ポンと置いただけでスクエアに構えられる。対する『G740』は、世界のあらゆるタフな芝に対応するしっかりバンスがついた『グローバルモデル』です。 流行りのソールの面取りですが、ゼクシオやピンのGシリーズは過度な面取りをしません。オノフやプロギアなどは『抜け』を意識してソールに丸みを持たせますが、ゼクシオなどは『ソールの座り』を最優先してゴルファーの安心感でミスを抑え、とにかくグリーンに乗せる確率を上げるための形になっています」(藍川氏) 最後に、最近のアイアンのトレンドとして外せない「中空アイアン(テーラーメイド『790』やタイトリスト『T350』など)」についても触れてくれた。 「キャビティのようなやさしさは欲しいけれど、見た目はシャープでスッキリさせたいという『かっこよさとやさしさの両立』を求めるなら中空も非常に強力。ですが、並べ比べたモノを見ての通り、最大サイズではありません。どちらを選ぶべきか、自分の特徴から知りたい人は、VGFS設置店でぜひ相談してみてください」(藍川氏) ◎取材協力/ヴィクトリアゴルフ御茶ノ水店