家のフローリングなどのラインに沿ってスクエアに構える練習がおすすめだ
2024年限りでツアーから撤退した上田桃子や、2025年のプロテストに合格した藤本愛菜、千田萌花らが所属する「チーム辻村」。そのチームを率いるプロコーチ・辻村明志氏に、パットが上達するコツについてじっくり話を聞いた。
【連続写真】狙った場所に真っ直ぐ! 完璧にスクエアな申ジエのストローク
◇ ◇ ◇少し古い話がですが、3月に開催された「ジャパンゴルフフェア」にボクも足を運びました。その中でボクの目に留まったのが、「GMASTER KAIZEN」シリーズのひとつ「PROLAZER(プロレーザー)」です。宣伝をするつもりはありませんが、非常に多くの学びと気付きを得られた練習機器だったので、さっそく導入を決めました。その目的は、パッティングにおけるアライメントの矯正と向上です。形状は二等辺三角形で、その底辺をフェース面にぴたりと当てると、頂点から緑色のレーザーが照射され、フェースがどの方向を向いているかを確認できる優れものです。ボクのチームに所属するプロ、練習生、ジュニアの計7人でチェックしたのですが、まずは残念な結果から報告しなければなりません。全員が、自分で狙った方向とはまったく違う方向を向いていたのです。5メートル先では、狙いから2?3センチずれただけでも、カップには入らないどころか、カップ幅すらかすめません。ちなみに、ボクの知るアマチュアも調べてみると、狙った方向より左を向いている、つまりフェースが被っている人が6割、右を向いている人が2割、その日の状況によって右にも左にも向く人が2割という印象でした。当然、誰一人として狙った方向を正確に向けてはいませんでした。おそらく一流プロであっても、どんな状況でも狙った方向へ正確に構えられる選手は、ほとんどいないと思います。もちろんアマチュアより誤差は小さいでしょうが、「狙った方向を向いていない」という点では同じです。それがゴルフの面白さだと言ってしまえばそれまでですが、実はこここそ最も改善できるポイントなのです。ボクはこの連載でも何度も繰り返してきました。パッティングは、唯一アマチュアが一流選手に近づける分野です。その中でもアライメントは最も重要な要素でしょう。だからこそ、アライメントの改善に取り組まない手はありません。これまでボクも、パッティングではストロークやヘッドの動かし方、ボールポジションについて指導してきました。また、打つことばかりに意識が向くと「入れる」という意識が薄くなることについても話してきました。しかし、このアライメントについて真剣に考えてきたかといえば疑問です。立ち方は教えても、構え方までは教え切れていませんでした。アライメントとは構え方であり、構え方とは狙い方です。例えばライフルも、標的に正しく照準を合わせられれば、あとは引き金を引くだけです。これはパッティングでも同じことです。チームでこの練習をしていると、2015年に千葉県のゴルフ場で、上田桃子プロと一緒に故・荒川博先生の指導を受けたことを思い出しました。当時、上田プロは引退も真剣に考えていた時期でした。すると先生は、カップを狙う上田プロの構えを見て、少し腰の向きを修正しただけで、4?5メートルのパットが次々と入るようになったのです。先生には、そうした心眼があったのでしょう。まだまだ未熟なボクにその能力はありませんが、この練習機器は、今は亡き師匠に少しでも近づける道具のようにも思えました。さて、パットが入らない原因は、ラインの読み違いや距離感、ヘッドの動き、ボールポジション、あるいはパターそのものとは限りません。まず疑うべきはアライメントです。狙った方向に正しく構えられているかが何より重要なのです。どれだけ良いストロークをしても、アライメントが悪ければカップには入りません。その原因を理解しないまま修正を繰り返すと、ゴルフはどんどん難しくなってしまいます。時にはイップスのような症状につながることもあるのではないでしょうか。もし練習器具がない人でも、古典的ながら効果的なドリルがあります。家のフローリングなどのラインに沿ってスクエアに構える練習です。板の継ぎ目が交差する部分にフェースをスクエアにセットし、真っすぐラインへ向けて構える感覚を養ってください。これはボク自身がジュニア時代に行っていた練習法でもあります。構え方は、何度も繰り返して経験値を積み重ねることが上達への近道です。今回はパッティング全般についての話になりましたが、とても大切な内容です。ぜひ知識として覚えておいてください。■辻村明志1975年生まれ、福岡県出身。上田桃子らのコーチを務め、プロを目指すアマチュアも指導。2025年は千田萌花、藤本愛菜をプロテスト合格へ導いた。読売ジャイアンツの打撃コーチとして王貞治に「一本足打法」を指導した荒川博氏に師事し、その練習法や考え方をゴルフ指導に取り入れている。元ビルコート所属。※『アルバトロス・ビュー』936号より抜粋し、加筆・修正しています