まさに孝行娘。安田祐香がホステス大会で記録ずくめの勝利をつかんだ(撮影:福田文平)
<NEC軽井沢72ゴルフ 最終日◇16日◇軽井沢72ゴルフ北コース(長野県)◇6590ヤード・パー72>プロ7年目の25歳、安田祐香のツアー3勝目は初めての晴天となった。これまでの2勝はいずれも雨天でのもの。そして今大会は“記録ずくめ”の3日間となり、優勝会見では「青空の下で優勝トロフィーを持てていることはすごくうれしいです」とほほ笑んだ。
【写真】安田祐香が地面にシャフトをぶっ刺し…何の意味があるの?
大会を主催するNECに所属するホステスプロ。「年に1回しかないし、関係者の方も来られているので、いいプレーをしたい」という思いを胸に挑んだ。初日からエンジン全開。ツアー自己ベストでもあり、大会記録に並ぶ「61」をマークして単独首位発進。2日目も「64」をたたき出し、2日間の合計ストロークを「125」とした。これは2003年「ミズノクラシック」で、米通算72勝を誇るアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)が記録した最少ストローク「126」を1打更新した。この時点で2位とは7打差。最終日を前にした夜は「(緊張は)少しはありましたけど、たくさん寝れました。朝もすぐ来たので、最終日という意識があっても割と落ち着いて行動できた」。そして「“優勝するぞ”という気持ちで(会場に)入りました」と気合いを入れて最終日に臨んだ。試合中に決めているのは「7時間以上」の睡眠。それは「集中力には睡眠がたくさんいる」という理由から。自身初のホステスVがかかる前日の夜も、いつも通りの睡眠を確保していた。スタートの1番には大勢の観客が詰めかけた。ティショットを右に打ち出してバンカーへ。初日から課題としていた「右に真っすぐ」の球が出た。フェアウェイにレイアップし、172ヤードの3打目を5番ユーティリティで7メートルにつけて2パット。いきなりボギーが先行した。5番では10メートルから3パットを喫し、5ホールを終えた時点で2つスコアを落とした。「緊張したのが大きいミスになってしまって、動揺というか、きのうまでと違う感情だった。でも、最低限のミスに抑えられたのでよかった」と話す。その後は「あまりピンを狙わずに、パーオンを重ねていくとチャンスが増える」という考えから、グリーン中央を狙うマネジメントを徹底。パーを並べていった。しかし、中盤から流れが大きく変わる。8番では右手を離して打ったティショットを5メートルにつけてバーディを奪った。この日初めての大歓声を浴びると、9番は2メートル、10番で6メートル、11番で5メートルを決め、4連続バーディを奪った。その後も13番で2メートル、16番で1メートルを沈めてスコアを伸ばし、6バーディ・2ボギーの「68」でホールアウト。最終18番でウイニングパットを決めると、キャディを務める姉・美祐(みゆう)さんとハグを交わし、喜びを分かち合った。トータル23アンダーはトーナメントレコード。さらに3日間で合計26個のバーディを奪い、03年ミズノクラシックでソレンスタムが記録した24バーディを更新したツアー史上最多バーディ優勝を達成した。最多バーディ賞として賞金100万円、ベストスコア賞として賞金30万円も獲得。記録だけでなく、副賞も手にした。「最近は4日間の試合で10個以上取れるようになったんですけど、3日間でバーディをたくさん取り続けることはあまりなかった。思った以上にパットが入ってくれましたし、ショットは今週よかったので、それがスコアにつながってうれしいです」最終日は、アドバイスを受ける青木瀬令奈のキャディ兼コーチ・大西翔太氏と『一日、リーダーボードを見ない』ということを徹底したことも勝因の一つだった。「最後のバーディパットでもボードを見ていなかった。いま自分が何位かあまり把握していなかった」というように、最後まで順位を確認せずにプレー。ギャラリーから受けた『おめでとう!』という歓声で勝利を知り、「優勝が決まってうれしかったです」と笑顔を見せた。“プラチナ世代”同級生の古江彩佳、西村優菜、吉田優利らが米国女子ツアーで戦っていることもあり、気になるのは安田の海外への挑戦意欲。「いまのところは考えていないです」と明かす。それでも「メジャーとかチャンスがあれば」と、大舞台への出場機会が巡ってくれば挑戦する意思を示した。シーズンは後半戦に突入している。「今年は複数回優勝を目標にしています。後半戦まだまだチャンスはあるなと思っているので、それに向けてまた頑張りたい」と闘志を示した。記録ずくめとなった3日間で得た自信を胸に、さらなる栄冠を狙っていく。(文・高木彩音)