充電スポットが増えているとはいえ、電欠は怖いEV。果たして買いか否か
電気自動車に抵抗感があるとされる日本。それでも国産メーカーから続々と発売されていて、輸入車の上陸も続いている。ガソリン代が高騰を続けている昨今、関心は高い。実際のところ、EVは今、買いなのか否か。ゴルフの足としてもEVは気になるところ。次はEVもいいかも、という方もいるのではないだろうか? 現状とメリット・デメリットを整理してみた。
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■後進国と言われながらも着実に増えているEVひと口にEVと言っても、モーターとバッテリーのみで動くBEV(バッテリーEV)だけでなく、バッテリーの電気が無くなったときの発電や走りのアシストとして補助的にエンジンを積んだPHEVも含んで総称している。ちなみに日産が得意とするエンジンが発電に徹してモーターのみで走るe-POWERは、シリーズ式と呼ばれるハイブリッドの一種なので、少々ややこしくはある。昨今、ガソリン車の代わりに普及が進むと言われているのがBEVで、PHEVは実際のところ、つなぎ的な扱いとなっている。また、燃料電池車も水素で発電してモーターで走るが、仕組みが違うことからこちらはFCVと呼ばれている。そこで、今回取り上げるのがBEV(以下、EV)だ。一時、世界、特にヨーロッパで2030年までにはEVのみの販売にするなどと打ち上げたものの、続々と撤回して尻すぼみになっていたのは事実。それでも、EVは国産でも増えているし、輸入車はかなりの車種が日本上陸を果たしている。車種について、国産だけでも下記のようになる。トヨタ:Bz4Xレクサス:RZスバル:トレイルシーカー日産:リーフ/アリア/サクラホンダ:Nワンe: /スーパーワン/Nバンe:/インサイトスズキ:eビターラ/eエブリイダイハツ:e-ハイゼットカーゴ/e-アトレー※2026年7月現在意外に多いのではないだろうか。輸入車勢まで上げるとキリがないといった感じで、人気のテスラを筆頭に、EV世界販売台数ナンバー1のBYDも日本での展開に力を入れていて、7月には軽サイズのEV、ラッコが投入された。また、VWやアウディ、メルセデス、BMW、ポルシェの欧州勢に加えて、韓国のヒョンデもEV専業メーカーとして上陸している。ちなみにBEV政策を強力に推し進める中国には日本未上陸のメーカーがいくつもあるが、たとえば携帯電話でお馴染みのシャオミもクルマを作っていて、日本上陸を狙っているとされている。販売台数は別にして、ユーザー環境としては幅広い選択肢があると言っていいだろう。■車両価格が高くても補助金が大充実!車種が充実していても、買うとなると問題なのが価格だ。イメージとして、EVは高いという印象ではないだろうか。専用設計でコストがかかるというのもあるが、一番の問題はバッテリーで、今話題のレアアースの問題も絡んでいて大容量が安価に手に入らないし、輸入品が多く、為替の影響も受けるなど国産には逆風だ。その点、中国のBYDはもともとバッテリーメーカーなので有利。バッテリーを他社にも提供していて日本車でも搭載しているし、テスラにも供給しているほど。ちなみにトヨタとは提携を結んで、一緒に研究開発を行っている。いずれにしても高いのは事実で、そこで頼みの綱となるのがまずは補助金だ。メーカーや車種によって異なるのだが、たとえば国によるCEV(クリーン・エネルギー・ビークル)補助金と呼ばれるものが最大130万円。さらに自治体からもZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)として補助金が出て、たとえば東京都だと、充放電設備や再生可能エネルギー電力などを導入した場合の上乗せも含めると、最大で130万円(PHEVは115万円)。さらに東京都にプラスして、都内の江東区だとさらに10万円も出たりする。そのうえ、車検時にかかる重量税が新車時と2回目はゼロ円。自動車税も約75%減税など、手厚すぎるのが現状だ。ただし、注意したいのは予算があり、年度の予算の上限まで達したら終了ということ。またCEV補助金、ZEV補助金ともに車種によって金額が異なったりするので、細かいところはディーラーに相談するほうがいいだろう。■電気代は? ランニングコストは? EVの気になるポイント8選ここまでは各メーカーの販売状況と公的な補助金などについて見てきたが、さらに細かいポイントを8つに絞って整理してみた。●充電スポット以前は大都市圏のみだったのが、次第に増えている。各モデルの一充電あたりの航続距離も伸びているので、電欠の可能性は減ってきている。また充電器を設置しているゴルフ場が増えているのも、ゴルファーにとってはうれしい点。着いたら繋げて、ラウンドしている間に充電完了というのはスマートだ。高速道路のSA/PAの多くにあるのもゴルフ目線でのメリットだろう。カーナビで検索したり、専用のスマホアプリがあるので、充電スポットを探すのは簡単だ。
●普通充電と急速充電EVの充電は100Vないし200Vの普通充電と、それ以上の電圧で一気に充電する急速充電がある。満充電にするのに前者はひと晩ぐらいで、後者は20分?30分ほど(正確には急速充電はシステム的に80%くらいでストップ。100%の満充電にはならない)。急速充電は出先などで急いでいるときは便利だが、バッテリーの劣化が進む(スマホと同じ)ので、可能なら普通充電のほうがクルマには優しい。また今後、急速充電器の大出力化競争が進む可能性が大きい。●電気代燃料代的な意味での電気代は一番気になるところ。昨今はガソリン高なのでなおさら気がかりだ。電費は燃費と同じで、車種や走り方によって異なるので一概には言えないし、EVの場合はどこで充電するかでも違ってくる。オーナーの声などを総合すると、だいたい1/3から1/2程度、EVのほうが安い感じだ。●どうやって支払う?急速充電の多くは有料。イメージとしては運営会社や自動車メーカーの会員になって、使い方に合わせたメニューに登録して会費を払って使う感じ。利用時間が決まっていたり、課金基準が時間か電力量かで異なったりするし、また、ガソリンのように高速道路のほうが高かったりする。会員登録しなくてもビジターとしてクレジットカードでの支払いはできるが割高になってしまうし、現金は不可だ。また、新車購入特典としてよくあるのが1年間や2年間、充電料金無料というもの。ガソリン代タダと同じなので、かなりお得になる。●自宅に充電器を設置自宅に高出力の急速充電器は簡単に設置できないが、普通充電器は可能。しかも簡単で、低出力タイプなら大きなコンセントを壁に付ける感じ。しかも設置自体に手厚い補助金があるので、実質数万円から設置可能だ。付けてしまえば、電気代の安い夜間に充電するなどで節約できる。●家と接続(V2H)Vはビークルで2はto、Hはホームとなって、EVと家をつなげるV2Hと呼ばれるシステムに注目が集まっている。簡単に言うとEVを電源として家に電気を供給することで、災害時にも威力を発揮する。バッテリーの容量や使用電気量にもよるが、約3日分の電気をまかなうことができる。
●ランニングコスト従来のガソリン車であれば、オイル代などのメンテ代がかかる。EVであればそういったものがないし、回生ブレーキによってブレーキの摩耗が軽減されることにより、ブレーキへの負担が少ないので、車検時の費用も安いことが多く、故障も少ない。ただし、車重が重たい傾向にあるため、タイヤへの負担が大きくて減りやすいのはデメリットだろう。また街の修理工場では対応できず、ディーラーに頼むことになるのでその場所が問題にもなる。●フィーリングエンジンがないので振動が極端に少なくて、簡単に言うと電車感覚。静かすぎて路面からのサーという音が目立つほどだ。また高回転で力が出るエンジンに対してモーターは回転始めから大きな力が出る特性なので、出足が力強くて運転が楽。エンジンの音や振動が味わいというのも事実ではあるので、可能なら試乗をオススメする。●デザインせっかくのEVということなのだろうか、デザインは先進感たっぷり。また車内も同様でスイッチ類が並ぶのではなく、センターの巨大タッチパネルでなんでも操作というモデルが多い。テスラはその最たるもので、車内にはなにもないと言っても過言ではない。ただ、クルマというよりスマホや家電のような感じで、人によっては抵抗があるかもしれない。■いいことばかりではなし! 当然、デメリットもあるここまではメリットを中心に見てきたが、デメリットも当然ある。最後に本音的に紹介すると、充電スポットが増えているとはいえ、やはり電欠は恐怖だ。ガソリンならスタンドが比較的近くにほぼあるし、高速道路上でも最悪降りればいい。充電量が減っていくのはいかんともしがたいときがあるのは事実で、精神的にもよろしくない。補助的にエンジンを積んだPHEVが現実的と言われるのはこの点が理由。ちなみにJAFなどのレスキューでは電欠に対応してくれる。また車種が少ないだけでなく、ジャンルが偏っているのも、ユーザーの選択肢という点ではこれからと言ったところ。大量のバッテリーを床下に積載する都合上、どうしても全高の高いSUVが主流になってしまう。これは日本に限らず、世界的な傾向だ。そしてもうひとつは価格で、補助金が出るとはいえ、安くはない。またリセールバリューが不透明なことも課題だ。市場が確立途中なので中古需要が測り知れず、手放すときにかなり安くなる可能性も捨てきれないし、バッテリーの劣化が測りづらくて程度の判断が難しいというのもある。システムまですべて見られるという点で、これからはディーラーに売却というのが主流になるかもしれない。ちなみに一定期間所有しないと補助金は返金しないといけないので注意が必要だ。文句なしの爽快な走りや静かさ、ランニングコストの安さなど、今までにないメリットがあるのは確か。否定的になりがちなのもわからないでもないが、まずは乗ってみること。乗ったことがない人のほうがまだまだ多いだけに、気になるならまずは試乗してみるといいだろう。百聞は一見にしかずだ。(文・近藤暁史)近藤暁史学習院大学文学部国文学科卒。ファッション誌から一気に転身して、自動車専門誌の編集部へ。独立後は国内外の各媒体で編集・執筆、動画製作なども行う。新車、雑ネタを中心に、タイヤが付いているものならなんでも守備範囲。所有するのはクルマ3台、バイク4台で、計20輪生活を送る。自身のYouTubeチャンネル「こんどう自動車部」では、洗車・自動車のメンテナンスなどを中心に、クルマに関わる裏技を紹介している。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。