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目を見張った「やり遂げる才能」 安田祐香“6打差圧勝”の舞台裏【大西翔太のHOTSHOT・特別編】

2026/08/22 11:45

安田祐香(中央)の優勝を喜ぶチーム大西の面々(撮影:福田文平)

青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏が、好調な選手や注目選手の強さのヒミツを解説、女子ツアーでの流行など現場からのホットな情報をお届けする。今回は特別編として、先週の「NEC軽井沢72ゴルフ」で6打差の圧勝劇を演じた安田祐香の通算3勝目までの裏話を明かした。 【写真】「いつ離れるんだろう(笑)」姉から妹へ万感ハグ ■徹底した約束2024年から“チーム大西”のメンバーとして青木、そして今季から加わった中村心と練習をともにしたり、大西氏からのアドバイスを受けている安田。軽井沢の最終日には「約束」を交わしていた。それが「リーダーボードを見ないこと」。これを守り続けた。「前、イ・ボミさんのトレーナーさんが『5打差の首位で迎えた最終日が一番緊張した』という話をしていたんです。絶対に勝たないといけないと思ってしまう。安田選手は7打差あったので、その気持ち以上。スコアを出す他の選手をボードで確認すると、追われる人は元気がなくなるパターンをよく見てきました。追ってる選手の方は、もちろん元気になるんですけどね」状況を把握したがゆえの焦りや緊張、そしてプレッシャー。それをはねのけるための作戦だ。実際、1番、そして5番と立て続けにボギーを叩いた安田は、一時、3打差まで後続に詰め寄られた。だが、本人はこの約束のおかげで、そんな状況は把握していない。実際、最後のパットを決めた時に自分が優勝したことを知ったほどだったという。■研ぎ澄まされていた距離感覚この3日間は、“日替わり”のテーマを掲げてコースに飛び出していた。初日は『縦距離』を朝の練習から徹底的に研ぎ澄ませた。120ヤードに設定したら、誤差1ヤードの範囲で打ち出していく。ここで大西氏が驚いたことがある。「トラックマン(弾道計測器)はデータが出るまでにタイムラグが5秒くらいあります。安田選手が打った後に、『今はつかまったから123ヤードです』って言って、データが出ると本当に123ヤードだった。また次に打つと『これは多分120ヤードです』と言って、出てきた答えは121ヤード。1ヤードのズレしかなかったんです」大西氏は、このエピソードにこんな話を付け加える。「この練習のポイントは、打った後に何ヤードかを知るだけでは効果は弱いんです。何ヤード打つと決めて、その答え合わせをすることが必要。ここは見直して欲しい。結果論を把握するのではなく、打つ前から何ヤードを狙うかを決め、それを答え合わせする。ここまでがセットなんです」キャリーの意識をとにかく徹底。すると、その日のラウンドでは「61」という驚異的なスコアが生み出された。■安田の本当のすごさは…そして2日目は『初日だと思う』という意識でプレーをした。トーナメントではビッグスコアを出した次の日に停滞するというのは、よく見かける光景でもある。だが、とにかく“きょうが初日”という気持ちで回ると、前日までのスコアへの意識は薄まる。結果的に2日目も「64」をマーク。トータル19アンダーまで伸ばし、菅楓華らがいる2位グループに7打差をつけたのだった。最終日のテーマが、上記したようにボードを見ないこと。この結果、優勝にたどり着いたのだが、大西氏が目を見張ったのは、その結果というよりもプロセスだった。「安田選手のすごいところは、そのテーマひとつひとつをやり遂げられるということです。これはなかなかできないこと。このやり遂げる能力こそ、才能だと思いました」この大会期間中、安田には世界的なレジェンドが持つ記録の更新も期待されていた。その記録保持者が、米ツアー通算72勝の“女帝”アニカ・ソレンスタム(スウェーデン)だ。安田は3日間で26バーディを奪取し、2003年の「ミズノクラシック」でソレンスタムが記録した54ホール最多バーディ数(24個)を上回った。「どうしても記録を打ち立てて欲しかった。そのために、己との戦い。周りを一切気にしないことも約束しました。ゴルフは周りを気にすると、それで歯止めがかかってしまいます。自分自身に向き合い、ボードは見ずにという言葉をかけて、最終日は送り出しました」やり切る力が導いた、圧勝劇でもあった。■解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務め、24年からは安田祐香のコーチングも行っている。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。大西翔太プロデュースの練習器具「Sho_izm(ショーイズム)」シリーズ(朝日ゴルフより全国のゴルフショップにて販売中)。豊富な知識を生かして、今年はテレビ解説も行うなど活躍の場を広げている。