妻の未樹さん(左)と優勝を喜ぶ平本世中(撮影:福田文平)
<~ジャンボ尾崎追悼大会~ ISPS HANDA 夏に爆発 どれだけバーディー取れるんだトーナメント 最終日◇23日◇草津カントリークラブ(群馬県)◇6690ヤード・パー72>プロ5年目の26歳・平本世中(せじゅん)が、最多アンダーパー記録に並ぶトータル32アンダーでツアー初優勝を飾った。
【写真】「気持ちいい~!」仲間たちから水攻めを受ける平本
2位に2打差をつける単独首位で迎えた最終日は、7バーディ・1ボギーの「66」をマーク。最終18番で6メートルのウイニングパットを決めた瞬間、右手でこぶしを握り、その後は両手で力強いガッツポーズを見せた。その目はうるんでいた。「普段から、優勝したら泣くのか、泣かないのか、みたいな話を友達とかとしていて、自分では泣かないなと思っていたんですけど、去年結婚して、いつも応援してもらっていますし、両親もこともパッと考えて。一番最初に家族の顔が浮かんだので、それでちょっとグッときちゃいました」。そう話しながら、笑顔を見せた。平本は昨年12月に結婚。妻の未樹さんは、最終18番グリーン横で、涙を流しながら平本の優勝を見届けた。普段は仕事もあり、毎試合応援に来られるわけではない。この日は急きょ仕事を休み、応援に駆けつけたという。平本が仲間たちから祝福のウォーターシャワーを浴びたあと、未樹さんと抱き合い、喜びを分かち合う姿があった。未樹さんは「私がいるときに優勝してくれたので、よかったです。(いつも)とにかくプレッシャーを与えないように、頑張ってもらえたらなと思っていて。でもきょうは本当に悔いのないように戦ってくれたと思います。最後のバーディが本当にかっこよすぎて、惚れ直しました」とほほ笑んだ。結婚してから、未樹さんの存在が大きな力になっている。「(試合が)日曜日に終わって帰って、また月曜日に出るんですけど、そのときも朝、見送ってくれる。今まではそういう人がいなかったので、すごく心強いです。応援されているなって、一番近くで感じています」。「僕、普段がだらしないので」。未樹さんは日頃から食事面や生活面で平本をサポートしている。野菜が苦手な平本のために、栄養面も考えながら工夫を凝らしているという。「混ぜたり、知らないようにうまいことやったり。料理は得意なほうなので。(平本は)中華とかが好きなんですけど、中華ってピーマンとかいろいろ入ってるじゃないですか。『今年一番ピーマン食ってるわ』みたいな感じで食べてくれています」(未樹さん)平本にとって未樹さんは、尊敬できる存在でもある。「僕を尊重してくれる。僕にはないものを彼女は持っていますし、そこはお互い尊敬し合いながら生活できている。優しさとか、おおらかさとか、人を許す心。僕より(年齢が)4つ上なので、大人だなって感じます。大人なところが僕にはないところ。人として彼女はすごくしっかりしている。礼儀作法だったり、当たり前ですけど。僕、子どもなので」。最後は少し笑いをこぼし、報道陣を和ませた。これからも二人でシーズンを歩んでいく。その裏には、未樹さんの覚悟がある。「私はゴルフのことがわからないので、生活面のサポートでできることは何でもやりたい。今後もそれは続けて、それで少しでも彼の気持ちが楽になるのであれば、私は何でもできます」と力を込めた。家族に支えられながら、平本は今季の大きな目標として掲げていた最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」への出場権もつかんだ。同大会には今季の優勝者など限られた選手しか出場できない。「達成したので、もう一回、家に帰って目標を立て直します」。まずは家族で喜びを分かち合う。その後は、新たな目標を決める“家族会議”が待っている――かもしれない。(文・高木彩音)