12連戦中とは思えない笑顔とプレーを見せた菅楓華。ここからも“鉄人”は戦い続ける。(撮影:上山敬太)
先週行われた「CAT Ladies」で、今季の国内女子ツアーは23試合を終えた。標高約700メートルの高地での戦い。雨も降った最終日こそ26.1度とやや涼しかったが、初日は28.8度、2日目は29.1度と強い日差しのなか、選手たちは額に汗を流しプレーした。
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本格的な夏が到来し、疲労がたまる季節ではあるが、ツアーではここで通算2勝目を挙げた吉田鈴をはじめ、小林光希、入谷響ら23人がフル出場を続けている。4月と7月末に1週ずつのオープンウィークがあったことも、それを可能にしているのかもしれない。そんな長いシーズンを戦う選手たちのなかで、ハードワークぶりが際立つのが菅楓華だ。7月「大東建託・いい部屋ネットレディス」後に設けられたオープンウィークも海外メジャー「AIG女子オープン」(全英)に出場しており、CAT Ladiesで12連戦を終えた。渡英を挟む、過酷なスケジュールをこなしてきたことになる。さすがに箱根では、「今週は疲れを感じる場面がすごく多いですね。特に足にきていて、踏ん張りが効かず、いいボールが打てないことが多かったです」と話していた。それでも、国内ツアーで今季予選落ちしたのは4月「富士フイルム・スタジオアリス」の1試合のみ。安定したプレーを続けている。菅はCAT Ladies終了時点で今季21試合に出場している。「リゾートトラスト レディス」、「ヨネックスレディス」は2試合連続で欠場したが、これもヨネックスと同週に開催された「全米女子オープン」への出場と、その準備のため。渡米から時差ボケのなか現地での練習をこなしたことを考慮すると、実質的に4月から休みなしという見方もできる。この連戦を自らに課しているのには、菅なりの考えがある。「1週間休むことで、私のなかでリズムが変わってしまう。もちろん休んで練習をするという考えがないわけではないですが、休むと、今度は練習をたくさんしたいという思いが強くなってしまう。体を休める日により疲れるという経験も一回しました。試合に出るともっと疲れるとは思うけど、そのなかで感覚をつかんで、いい流れを作るのが自分には合っている。リズムを崩したくないので、試合に出続けることにしています」もちろん月曜日や、3日間大会の前なら火曜日も休養に充てるよう努めている。箱根では事前の練習ラウンドを行わず、体力を温存するという工夫もした。さらに菅のトレーナーを務める真栄城輝也氏が、「寝るのと食事が回復には一番。トレーニング量を落としてしまうと、体の循環が悪くなるので、月曜日には体がきつくても走ってもらったりはしています。アクティブレストと言うのですが、意図的な有酸素運動も疲労回復には有効です」と明かすように、コンディション維持にぬかりはない。そのうえで、ツアーがポイント制で行われていることも、試合に出続ける理由になっている。3日間大会の優勝者は200pt、4日間は300pt、そしてメジャー大会は400ptと、大会ごとの差はあれど、その格差は賞金ほどではなく、女王を目指すうえでコツコツとポイントを上積みしていくことが重要になる。菅も「1ポイントでも稼ぎたいと思っているし、それも(連戦の)理由のひとつです。3日間大会でも上位に入れば4日間のように積み上げることができるので」と言う。現在メルセデス・ランキング2位につけていることを考えれば、その意識はより強くなる。では、かつてのように賞金ランキングで女王が決まるならば、どうだろう? 菅は現在、1億3739万9128円で1位。唯一1億円の大台に乗り、2位の河本結(9822万8731円)に約3917万円もの差をつけている。もし基準が賞金ならば、休暇を挟みながらスケジュールを進めることもできるのではないかと思った。そう本人に聞いてみると、笑顔を浮かべながら首を横に振る。あくまでも自分のペースを守るため。女王レースのためではなく、それが試合に出続ける意味になっている。ちなみに菅は昨年も36試合中35試合に出場というタフネスぶりを発揮した。今年も「この後は全部出る予定です」と力強く宣言する。「メジャー前は休む選手もいて、それはすごくいいなとも思ってはいます。準備もできるし、来年以降はそういうことも取り入れたいですね」。すでにツアーの第一線で活躍するトッププロのひとりだが、まだプロ3年目。こういった経験のひとつひとつが、今後のキャリアにも生きてくる。いろいろとやり取りを交わしたが、最後は「まだ若いので」と言ってニッコリ。女子ツアーの連続出場記録は表純子の241試合。この記録は国内ツアー限定のため、海外メジャーにスポット参戦する選手の数が増えている現在では、たやすく破ることはできない記録になるだろう。疲れを感じていたはずのCAT Ladiesも、最終日に「66」をたたき出し6位に入った。全英後は3試合連続でトップ10入り。“令和の鉄人”は、ホステスプロとして臨む北海道で行われる13連戦目の「ニトリレディス」でも、いいリズムを刻んでくれるはずだ。(文・間宮輝憲)