グランドシニア初陣で勝利を挙げた柳沢伸祐(提供:日本プロゴルフ協会)
<コスモヘルスカップ 日本プロゴルフグランド・ゴールドシニア選手権 最終日◇2日◇南総カントリークラブ(千葉県)◇6621ヤード・パー72(グランド)、6117ヤード・パー72(ゴールド)>60歳の柳沢伸祐が、国内シニアツアー入り後では2020年の「ISPS HANDA コロナに喝!!シニアトーナメント」以来となる通算4勝目を飾った。今年7月に60歳を迎え、今大会がグランドシニアのデビュー戦。その初陣で“日本一”のタイトルをつかみ取った。
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1打差の2位で最終日を迎えた柳沢は、6バーディ・1ボギーの「67」をマークし、トータル9アンダーでホールアウト。最終組で1打リードしていた清水洋一が最終18番でボギーを喫したことで、冨永浩を含む3人によるプレーオフに突入した。4ホール目で冨永が脱落すると、5ホール目で柳沢が2打目を30センチにつけてバーディ。パーの清水を振り切り、長い戦いを制した。「体力勝負というか、独特の緊張感ですね。優勝と2位って全然違うじゃないですか。そんなことをずっと考えながら、頭から離れずに回っていた。プレーオフでしか味わえないゴルフを5ホールやらせてもらった」。その表情には、優勝の喜びとともに、大きな安どがにじんだ。今大会で、先輩プロから繰り返し受け取った言葉がある。それは『年々チャンスは少なくなるからな』『いまが一番チャンスだぞ』『今年、勝っとけよ』だ。年齢とともに体力は変わり、飛距離も少しずつ落ちていく。先輩たちも、その変化と向き合いながら、クラブや体のケアを試行錯誤している。柳沢自身も、これまで順風満帆だったわけではない。「シニアツアーに出ているときもずっと腰痛に悩まされていた」。腰痛と戦いながらスイングを作り、腰に負担のないゴルフを追求してきた。そのために、危険な姿勢を取らないなど、日常生活から意識している。「お腹出ているけど、けっこう中のほうは筋肉あるんですよ」というように、腰痛対策を目的としたトレーニングも続けている。「この1、2年腰痛が出ていない。ゴルフも良くなっている一番の要因。シニアは特に身体が大事。試合に出ていなければ体調はいいんです。試合に出ちゃうと、試合中の問題点、悔しさがあると練習しちゃう。練習量が増えるというのが怪我の原因」。ゴルフができる体を維持するため、練習量を抑えるなど、自分なりの工夫も取り入れている。かつては腰痛を抱えながらも、賞金ランキングを維持するために無理をして試合に出場したこともあった。痛みを抱えながらプレーを続けた経験があるからこそ、今は「うまくなること」だけではなく、「長く続けること」の大切さを実感している。長くゴルフを続けるために必要なのは、自分の体を知ること。そして、その変化を受け入れることだという。「腰痛がなくゴルフができて、年をとってもこの2年飛距離も衰えていない。本当だったらだんだん衰えるでしょ」。年齢を重ねれば、体は変わる。だからこそ、若い頃と同じように頑張るのではなく、その時々の自分に合ったゴルフを見つけることが重要になる。その柳沢が考える、年齢を重ねてもゴルフを続けるための秘訣はシンプルだ。「頑張りすぎないことと、自分の体に合った癖とか柔らかさ、硬さの部分。それに合ったスイングをするのが一番。というレッスンを僕は横浜のスタジオ(ビバゴルフ)でやっているんです」現在は横浜にある『ビバゴルフ』でレッスンも行っている。クラブを調整する工房も構え、ゴルファー一人ひとりの体やスイングに合わせたクラブ選びにも携わる。自らクラブの組み立てなども行っている。そんな柳沢だからこそ、60歳を超えたアマチュアゴルファーに伝えたいことがある。「怪我なくゴルフを続けていくために。僕ら世代というのは、近くにいる上手いプロの真似をすると、全然体の関節の可動域が違うので、そのスイングを真似しようとして体痛めるパターンが多い。今は個々に合ったスイングをやっていれば怪我をしない」。誰かのスイングをそのまままねるのではなく、自分の体に合った動きを探す。飛距離やスイングの形にこだわりすぎず、体に無理をさせないことが、結果的に長くゴルフを楽しむことにつながる。残りのゴルフ競技で掲げる目標も、勝利数ではない。「何勝したいとか、そういう目標はなくて、身体が元気で、競技を1年でも長くやりたい。その中でこういう結果が出たりするとうれしいから、とにかく1年でも長く競技をやれる身体でいるということ」。無理をせず、自分の体と相談しながら、できることを長く楽しむ。それは、同じ世代でゴルフを続けるアマチュアにとっても、大きなヒントになりそうだ。(文・高木彩音)