ややヒール寄り下目に打痕が集中する、桑木志帆の7番アイアンの打痕
女子プロの7番アイアンの打痕を調査すると、練習量が多いだけに「クラブの重心」と「スイングの再現性」が顕著に表れていることが分かる。普段から『GCクワッド』で打点のズレをシビアに見ながらフィッティングとレッスンを行う、ティーチングプロの長谷川ケント氏に、女子プロのアイアン打痕に学べる点を聞いた。
【画像】吉田優利も桑木とほぼ同じヒール側!BS勢の「打痕」
主に7番の打痕を調べると、ブリヂストン製を代表に、国産の軟鉄鍛造の1枚モノを使う女子プロの多くはフェードヒッターの桑木志帆(ブリヂストン『241CB』)もドローヒッターの岩井明愛(ヨネックス『 EZONE CB511フォージド』)も「若干のヒール寄り」で、意外に多めの結果だった。かたや、複合モノを使うイ・ミニョン(タイトリスト『T250』)など「ド真ん中」の打痕も少数いた。 ■選手はアイアンの重心位置を「感覚」で察知 この球筋とそこまで関連しない傾向について長谷川氏は、「選手は各アイアンの重心位置を感覚で察知します。軟鉄鍛造の一枚モノはややヒール重心のモノが多く、複合モノはセンター重心を目指すモノも多い。球筋というよりは縦距離を大事に練習する中『どこが芯か』を感覚的に把握し、自然にその位置の打痕になるだけのはず」と分析する。 一方で、アマチュアに非常に多い【トウ寄りの打痕】を残すトップ女子プロ25人にはほぼ皆無。ところが、長谷川氏は「アマチュアは中・上級者でもトウ側に当たる人がけっこう多いんですよ」と意外な指摘をする。その主な原因は「手元の浮き」にある。 「初心者の人はカット軌道が理由でトゥ側に当たる人もいますが、中・上級者は理由が異なります。手元が浮くとトゥ側が下がって地面に近づくため、どうしても打点がトゥ寄りになりがちなんです。また、自分に合わないシャフトでトゥダウンが大きく出ると、ダフりを嫌がって無意識に手元を浮かせてしまうケースも多いですね。ちなみに、上下左右の打点ズレは【タテ距離のズレ】として結果に大きく跳ね返ってきます」
■マッスルバックは「打点が安定した人」限定 勝みなみや笹生優花、原英莉花や佐久間朱莉らマッスルバック(MB)をミドル番手以下で使う女子プロたちは、スコアラインの3?4本目付近に打痕が揃っている。アマチュアでも「女子プロと同程度のHSならMBを打てるか?」の疑問について、長谷川氏は慎重な見方を示す。 「MBはとにかく芯が小さいため、一番の条件は『打点が常に安定していること』。上下左右にブレる人が使うと縦距離が合わず、コースでパフォーマンスが出せません」。憧れだけで手を出さず、まずは自分の打痕がどれくらい集まっているかの見極めが重要だという。
また、「真ん中で打たなきゃ!」という意識が強過ぎるアマチュアほど、実は「逆効果になることが多い」とか。 ■「真ん中に」と、手で当てようとしない 「フェースの真ん中に当てようと意識し過ぎると、多くの人は体の回転が止まり、手だけでインパクトを合わせにいってしまいます。その結果、手元が浮いて結局トゥ側に当たってしまう。真ん中に当てにいくのではなく『自分のスイングをした結果、無意識に芯に当たるポイント』を見つける意識のほうが大切ですね」 アマチュアの練習法についてもこうアドバイスする。 「女子プロみたいに『溝3~4本目』に集まる打痕に憧れますが、アマはどこであれ【再現性】が最優先。多少芯を外しても、毎回同じ場所に集まっていれば飛距離の計算が立つしパフォーマンスは十分に出せます。打痕を見て『なぜそこに当たるのか?』を考えながら練習すると、上達のスピードが一気に上がりますよ」 ■解説:長谷川ケント ティーチングプロ。東京・市ヶ谷で「4plus Fitting Labo & Golf Salon」のフィッターも務める。動作解析「ギアーズ」や弾道計測器「トラックマン」、「GC Quad」を駆使して、スイングとギアの両面から特に“打点”ズレをシビアに見て悩めるゴルファーをサポートしている。