桑木志帆は2打リードで最終ラウンドへ(撮影:鈴木祥)
<日本女子オープン 3日目◇3日◇宝塚ゴルフ倶楽部 旧コース(兵庫県)◇6185ヤード・パー70>24時間後の歓喜の瞬間を先取りしたような大歓声が、18番グリーンを包んだ。今季最多の8763人が詰めかけたムービングデー。満員のスタンドとグリーンを取り囲む大勢のギャラリーの視線の先に、チップインバーディを決めた桑木志帆がいた。
【写真】チップインバーディ締めにこのガッツポーズ
「めっちゃうれしかった。めっちゃ気持ちいいです。完ぺきでした。(歓声は)めちゃ震えました」単独首位に立って迎えた最終18番。2打目はグリーン手前の花道のエッジで止まった。いつものようにきっちりと歩測したピンまでの距離は24ヤード。手にしたクラブはピッチングウェッジだった。キャリーは3分の1の8ヤードで、あとは転がす。イメージ通りだった。「1年くらい前から、ライなどの状況や距離に応じて9番アイアンまでアプローチで使っています。パーで上がりたいと思っていたから、寄せにいくアプローチだったけど、ボールが消えてくれてよかった」。引き出しの多さも、年間女王を目指すプロ6年目の快進撃を支えている。首位と4打差の3位から出て、6バーディ・1ボキーの「65」で回った。1番はピン奥2.5メートルを沈めるバーディ発進。前半で1つ伸ばし、難易度が上がるインで加速した。14番のバーディで首位をとらえ、15番の2打目地点で「16番のボードが見えた」と自分の位置を確認。残り167ヤードをピン奥3.4メートルにつけたバーディで、「これで単独かな」とさらに気合が入った。2024年「JLPGAツアー選手権リコーカップ」に続く、国内メジャー2冠に王手をかけた。最終日は史上初の国内メジャー4冠&永久シードを狙う単独2位の申ジエ(韓国)と最終組で回る。スロープレーがたびたび指摘される元世界一の実力者とは14度目の同組だが、2サムは初めて。メンタルの強さを試される神経戦ともなるが、「昔は同じ組で回る選手のペースに飲み込まれたこともあったけど、もう大丈夫です」と言い切った。「海外ではもっと遅い人がいる。去年のKPMG(全米女子プロ選手権)では、すっごい遅い人がいたけど、今では感謝です。イライラしてもいいことはない。きょうも結構、前の組と詰まって待たされたけど、海外メジャーで経験したので慣れました。気になりません。景色やギャラリーさんを見たり、キャディさんと話していたら時間は経つ。自分の時間でできるようになりました。 世界を経験しているジエさんと回るのは楽しみです」昨年の全米女子プロは初日に10オーバーの「82」をたたき、150位と大きく出遅れて予選落ち。苦い経験が「AIG女子オープン」(全英)での海外メジャー制覇にもつながった。前週の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で今季国内ツアー3勝目を挙げた。「日本女子オープン」で2週連続優勝となれば、17年の畑岡奈紗以来ツアー史上3人目となる。「手が届くところにあるので、しっかり取り切りたい」。ジエとは2打差。一分の隙もない今の桑木には、十分すぎるアドバンテージだ。(文・臼杵孝志)