存続のためLIVゴルフに突き付けられている条件とは?(撮影:GettyImages)
破産を申請したLIVゴルフが、これからどうなるのか。選手たちは、どうするのか。気になっている方々は、少なくないことだろうと思う。そして、この10月は、もしかしたらゴルフ界に、また波乱が起こるかもしれない。なぜなら、LIVゴルフの今後を左右する重大なタイムリミットが10月半ばに設定されているからだ。
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サウジアラビアの政府系ファンド「PIF(パブリック・インベストメント・ファンド)」の支援を受けて2021年に創設されたLIVゴルフは、翌2022年から試合開催を開始し、破格の賞金と賑やかな演出をアピールしながら今季は5シーズン目を迎えていた。しかし、PIFからの経済支援が2026年シーズンいっぱいで打ち切られることが今年4月に決まるやいなや、消滅の危機に直面。スコット・オニールCEOは新たな出資者探しに奔走し、リードインベスター(筆頭投資家)を得たことを発表。しかし、その時点では、筆頭投資家の名前や詳細は明かされなかった。そして、LIVゴルフは9月8日(米国時間)に、米国で「チャプター11」と呼ばれる破産申請の手続きを開始したと発表した。この手続きが行なわれたことにより、伏せられていたリードインベスターが英国拠点の投資会社「BCパートナーズ」のクレジット部門であることがわかり、同社が共同投資家とともに再建後のLIVゴルフに総額3億ドル(約471億円)を投資する計画であることも明らかになった。
LIVゴルフが破産手続き中も事業を継続するための事業継続資金は、驚いたことに、PIFが4960万ドル(約77億円)を融資することが決まっている。そして、LIVゴルフは再建計画を裁判所に提出し、その計画が承認されて初めて、BCパートナーズと共同投資家から総額3億ドルの投資を受けることができる。再建に向けての「つなぎ」の資金はPIFから融資を受け、再建計画が認められた後にはBCパートナーズから投資が得られることが決まっているのだから、LIVゴルフの先は明るいと感じられるかもしれない。だが、この手順で進んでいくためには、いくつかの条件があり、その中でもクリアするのが最も難しいと見られているのは、LIVゴルフの選手たちから新たな契約に対する承諾を取り付ける作業だ。LIVゴルフは選手に対して莫大な未払い金があることも、すでに明らかになっている。ジョン・ラームの債権額は約740万ドル(約11億6000万円)、ブライソン・デシャンボーは約580万ドル(約9億1000万円)、ダスティン・ジョンソンは約550万ドル(約8億6000万円)といった具合である。LIVゴルフは、こうした莫大な未払い金を抱える選手たちに、「既存の複数年契約を一旦解除し、もう一度、LIVゴルフを信じて、新たな再建支援契約にサインしてください」と頼み込み、債権者となっている選手の少なくとも半数以上から「イエス」と言ってもらわなければならない。さらに「その選手たちの債権額の合計が全選手の債権総額の3分の2以上」という条件も付けられている。しかも、この作業にはタイムリミットが設定されており、「チャプター11申請から35日以内」、つまり10月13日までとされているのだ。この厳しい条件がクリアできれば、BCパートナーズからの投資が得られることになる。ここに辿り着くことができれば、そこから先のLIVゴルフは、選手たちによるオーナーシップ・モデル、名付けて「LIV 2.0」の実現へ向かって動き出すことができる。これまでは、LIVゴルフの98.48%をPIFが所有していたが、新生LIVゴルフでは、選手が株の52.5%を所有し、BCパートナーズと共同投資家が45%、マネジメント(経営陣)が2.5%を所有する予定とされている。少々紛らわしいのは、PIFの姿勢と立場だ。これまで総額50億ドルをLIVゴルフに投入してきたPIFは、そうした巨額投資は今季限りで打ち切ることを決めたが、これまた驚いたことに、6月にはLIVゴルフに融資していたことも判明。破産申請時点で、その残高は約4億9500万ドルに達し、さらに未払い利息も加わっている。つまり、PIFはLIVゴルフと完全に縁を切ったわけではなく、「出資」から「融資」へ切り替えることで、単なる株主ではなく債権者という立場も得たと見ることができる。しかし、LIVゴルフが再建に向かうための最大のカギになるのは、選手たちから新たな契約にサインをもらうことができるかどうかである。タイムリミットは10月13日。ゴルフ界の10月は、また一波乱、あるかもしれない。(舩越園子/ゴルフジャーナリスト)