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ゴルフ会員権高騰の裏で注目される「友の会」やサブスク コスパだけじゃない“クラブライフ”の本当の価値とは?

2026/10/06 15:45

世代の違うゴルファーと18ホール回れるのもゴルフの面白い点

ゴルフを始める。打ちっぱなしに通う。100を切りたいと夢中になる。新しいドライバーも欲しくなる。そして毎週のようにラウンドへ。ここまで「ゴルフの沼」にハマった若いゴルファーでも、その先にある「ゴルフ会員権」には意外なほど関心がない。 【画像】同伴者のスカートの中が見えそう!「こんなとき、どうする」 今は予約サイトを使えば、全国のゴルフ場をスマートフォンから簡単に予約できる。ゴルフ場のメンバーにならなくてもゴルフに困らない時代になったからだ。ところが、その一方でゴルフ会員権の相場は上昇しており、会員権市場には再び資金が向かっている。では、誰が買っているのか。ゴルフ会員権売買大手、住地ゴルフのCOO木下裕介氏に聞くと、意外なほど昔からの構図は変わっていないという。「購入されるのは50代、60代が中心です。男女でいえば9割くらいが男性だと思います」同社で成約に至る顧客も中央値は60代。一方、若い世代からの問い合わせはまだ少ない。木下氏自身も、ゴルフ業界に入る前から5年間ほどゴルフをしていたにもかかわらず、会員権という仕組みをほとんど知らなかった。「ゴルフをやっていても、会員権を知らない人は多いかもしれません」20代、30代のゴルファーにいきなり「数十万、数百万円を払って会員権を買いませんか」と言ってもハードルは高い。そこで、その手前の存在として注目したいのが「友の会」や若年層向け会員制度だ。埼玉県のこだまゴルフクラブには「雉の会」がある。年間5000円で、料金の割引、ポイント、競技会への参加、1人予約なども利用できる。2026年のトップシーズンのセルフ料金なら一般が平日1万7000円なのに対し、雉の会は1万3000円。1回で4000円の差だから、年間5000円の負担は2回利用すれば十分元が取れる計算になる。栃木県の鹿沼72カントリークラブでは35歳以下を対象にした「U35会員」が2017年にスタートし、2025年には1023人まで増えた。入会金2750円、現在の年会費は1万9800円である。さらに36歳になるとU35を卒業するため、45歳になる年度まで利用できる「アソシエイツ会員」も始めた。通常の年会費は2万2000円で、月例杯への参加を希望する場合は3万3000円となる。つまり、「U35 → アソシエイツ → 正会員」という階段を用意したのだ。しかし、ここからが面白い。木下氏によれば、若者向け会員制度に入った人が、そのまま正会員になるとは限らないという。「若い人は基本的に自分の友人のコミュニティでゴルフをしている。友達と回るという構造は変わらないので、クラブライフを体験する間がないのではないでしょうか」友の会には入る、安くプレーする。しかし、月例競技に出たり、知らないメンバーと組んだり、世代を超えた知り合いをつくったりするところまでは行かない。つまり、問題は価格だけではない。「友の会」と「正会員」の間に、クラブライフを体験する橋がないのである。その意味で興味深いサービスがこの秋始まった。ゴルフのサブスクリプションサービスを展開してきたオフィスワイズが、2026年10月1日から「TEEREX友の会」を開始した。一般的な友の会は一つのゴルフ場に入るものだが、TEEREXは関東近郊約40コースが対象。1年プランなら月額6000円で、毎月500円相当のチケットが12枚付与される。エリアごとに必要なチケット枚数が異なり、Aエリア(千葉、埼玉、神奈川、山梨のゴルフ場)なら12枚で、平日1ラウンド分に相当する。ちなみに、Bエリア(茨城、静岡)なら平日10枚、Cエリア(群馬、栃木)なら平日8枚で回ることが可能だ。予約はすべて1人予約で、前日までに2人以上が集まれば開催される。これは予約サイトで毎回ゴルフ場を探すスタイルと、一つのクラブの正式なメンバーになるスタイルの中間とも考えられる。「どこのゴルフ場をホームコースにすればいいのか分からない」という若いゴルファーなら、まずいろいろなコースを回る。その中で「また来たい」と思えるコースに出会い、個別の友の会へ進み、やがて正会員になる。そんな新しい導線ができる可能性がある。住地ゴルフの木下氏も、価格の低い会員権について「サブスク的な要素が強くなってきていて、若者のニーズには意外とそちらの方が合っている」と指摘する。かつてゴルフ会員権には資産、投資という側面が強かったが、若い世代には「何回行けば元が取れるか」という利用価値から考えた方が分かりやすい。さらに「会員制ゴルフ場=年配男性の世界」というイメージを変えるクラブもある。千葉県市原市のブリック&ウッドクラブは、女性会員の比率が約4割。公式サイトでも、メンバー自身が委員会などを通じてクラブ運営に関わり、家族向けイベントや愛犬とのラウンドなどをクラブライフの特徴として打ち出している。木下氏は同クラブについて、若いメンバーや女性が比較的多く、さまざまなクラブイベントがあることが、クラブライフを体感しやすくしていると見る。ゴルフ会員権という言葉から「株券のようなもの」を連想する人もいるだろう。確かに相場はあり、売買もされる。しかし、若い世代に会員権を広げるなら、値上がりする金融商品のように説明するのは違う。木下氏は「クラブライフの良さはメンバーとのコミュニティ」と話す。若いうちは会社の同僚、学生時代の友人、SNSで知り合った仲間だけでゴルフをするのも楽しい。しかし、ホームコースを持つと世界が少し変わる。一人でゴルフ場に行ってもプレー相手がいる。20代、30代と60代、70代が同じ組になることもある。仕事も立場も違う人と18ホールを一緒に回る。そこで新しい友人や仲間ができる。予約サイトは、ゴルフを圧倒的に便利にした。TEEREXのような横断型の友の会も登場し、ゴルフ場との付き合い方はさらに多様になる。だからこそ、ゴルフの沼にハマった人には、その先も知ってほしい。予約サイトは「行くゴルフ場」を探す道具だが、会員権は「帰るゴルフ場」をつくるものだ。まず友の会からでも、何度も同じコースへ行き、競技に参加し、知らなかった人と一緒に回ってみる。そこで「ここに来ると楽しい」と思える場所を見つけたなら、クラブのメンバーになることを考える。ゴルフ会員権を買うことは、これから10年、20年のゴルフライフに、自分の「居場所」を一つ増やすことになるのではないだろうか。(文/嶋崎平人)