シグネチャーホールの12番パー3は勝負を左右する?(撮影:鈴木祥)
<日本オープン 事前情報◇14日◇タラオカントリークラブ 西コース(滋賀県)◇7411ヤード・パー70>幾度となく続くヘアピンカーブを登り、標高約600メートルの高原にたどり着く。タラオカントリークラブには、狭い山道を抜けてきたとは思えないほど広大な景色が広がり、36ホールがゆったりと配置されている。最も高い位置にあるクラブハウスからはコースを一望でき、池と芝、青空が織りなすコントラストも美しい。
【写真】ラフは意外と…打てそう?
しかし、景観の美しさに目を奪われてばかりはいられない。日本オープンの舞台となる今大会は、総距離7411ヤード、パー70。2015年大会の六甲国際ゴルフ倶楽部・東コースで記録した7394ヤードを上回り、大会史上最長のセッティングとなる。距離だけを見れば、選手たちには厳しい戦いが待ち受けていそうだ。ただ、攻略のカギを握るラフは、必ずしも警戒するほど手ごわいわけではない。昨年覇者の片岡尚之は「日本オープンのセッティングからしたら少し短いかな。スポッと埋まるわけではないので、ミドルアイアンくらいまでなら打てそう」と話す。日本オープンといえば、ボールが沈み込む“剛ラフ”も難しさの象徴だが、今大会は少し様子が違うようだ。2018年、2020年大会を制した稲森佑貴も、攻略法を見極めかねている。2年前の東京ゴルフ倶楽部や2016年の狭山ゴルフ・クラブでは、ラフに入れるくらいならあえてバンカーに入れる「バンカー作戦」を取っていた。だが、今大会については「長いところ、短いところでバラバラなので、こればっかりは分からないですね」と話す。ラフの深さが一様ではないだけに、状況に応じた判断が求められそうだ。日本ゴルフ協会(JGA)の山中博史氏も、ラフについて「思ったほど伸びず、90ミリで刈り止めをしている」と説明する。見どころは、長いホールばかりではない。池越えで浮島グリーンのように見えるシグネチャーホールの12番パー3は、1日だけ約110ヤードに短く設定する予定だ。ピン位置も手前に切り、「優勝争いの中でのプレッシャー、スピンコントロール技術など」を引き出す狙いがある。飛距離に緩急をつけた12番は、勝負を左右するポイントになりそうだ。気になるのは、優勝スコアがどこまで伸びるか。過去3年間の優勝スコアはいずれも一桁アンダーにとどまっているが、今大会は少し違った展開になる可能性もある。片岡は「自分はそこまで出せるイメージはないですが、優勝するなら2桁は必要かなと思います」と予想。山中氏も選手たちの声を聞き、「15アンダーくらいは行くのでは」と見積もった。大会史上最長の7411ヤードで、パー70。それでも優勝スコアは15アンダーまで伸びるのか。美しい高原の舞台で、距離の長さとスコアの伸びがどんなせめぎ合いを見せるのか。(文・齊藤啓介)