今季途中から44.5インチと短くした吉本ひかる(撮影:ALBA)
この夏は過去イチの飛距離を手に入れたい! アマチュアの永遠の願いをかなえるべく、ALBAでは『飛ばしフェス』を開催中。ツアーの現場から、女子プロの使用ドライバーを調査し、飛距離アップのコツをギアの面から探った。今回はシャフトの長さに注目した。
【写真】山路晶のドライバーの顔
◇■山路晶は45.75→45インチと短くしてメリット大1998年度生まれの黄金世代で、ツアー屈指の飛距離を持つ山路晶。今季のドライビングディスタンスは6位(251.99ヤード)につけている。エースドライバーは契約するテーラーメイドの『Qi4D LS』にフジクラの『26ベンタスTRブルー』(5-S)を挿している。詳しく聞いてみると、「今年の途中からシャフトを短くしました」と、今季の序盤戦までは45.75インチだったものを45インチにしたという。 ゴルフショップに並ぶ各メーカーのドライバーは、45.5インチを基準にするモデルが多く、慣性モーメントの大きいモデルは46インチが基準というものもある。もちろんカスタムでシャフトの長さを選べるようになってはいるが、店頭に並ぶドライバーの大半は、45.5~46インチ。山路のドライバーはそれよりも短いことになる。 昔からシャフトの長さは飛距離に直結し、1インチ伸ばせばヘッドスピードも約1m/s上がるとも言われている。2021年の「全米プロ」を制したフィル・ミケルソン(米国)は、『48インチ以内』というルール内の47.75インチを使って話題になった。これをきっかけに、飛距離を求めて国内の選手も46インチ以上の長尺を実践投入したり、テストする選手が増えた。 しかし、同年にR&Aと全米ゴルフ協会(USGA)が『パターを除くクラブの長さが46インチを超えてはならない』というローカルルール新設を発表。2022年からプロトーナメントや主要アマチュア競技で、ドライバーは46インチ以内という制限が設けられた。 ルールで規制されるほど『長尺=飛距離アップ』が確立されたが、山路は逆の調整を行った。「(45.75インチは)少しつかまらないことがあったので、45インチをテストしたら良かったんです。飛距離は全然落ちないし、むしろミート率が上がって平均的に飛距離は出ています。コントロールも良くなったと思います」と短くしたことへのメリットを感じている。
■吉本ひかるは46インチで振り遅れて飛距離ロス 今は44.5インチ市販品より短いシャフトを使っている選手はほかにもいる。ツアー1勝の吉本ひかるは、キャロウェイ『クアンタムMAX???』を使用しているが、昨季の46インチから今季は途中から44.5インチと短くしている。身長が152センチと小柄なこともあるが、かなり短い。 「昨年シャフトを長くしたのですが、かなり振り遅れていて、逆にヘッドスピードが落ちていました」と長尺化したことにより、逆に飛距離ロスをしていたという。「フェアウェイウッドまでは普通に打てるのに、ドライバーだけ良くないイメージがあったので、フェアウェイウッドに寄せる感覚で短くしました。短い方が振りやすいので、ヘッドスピードも上がりましたし、ミート率も上がりました」。短くしたことで、振りやすさを得られた。 昨年の年間女王の佐久間朱莉は、プロになる前からずっと45インチを使用している。ピンのプロ担当によると、クラブバランスもC9~D0とやや軽めで、しっかり振り切るスイングが信条ということもあり、長さは変えていないという。
■芯に当たらないと飛ばない これからはシャフト長を抑える時代!?この傾向についてギアに詳しいティーチングプロのQPこと関雅史は次のように解説する。「シャフトを伸ばせば物理的にヘッドスピードが上がるといわれますが、芯に当てるミート率が大切です。シャフトを長くすると少なからず振りにくさが出てくるので、ミート率が下がると飛距離は逆にロスします。女子ツアーで『C』バランスが増えているのと同じで、振りやすい長さならミート率も上がるので、平均的に飛距離が伸びる傾向にはあると思います。長尺は一発の飛びはあるかもしれませんが、安定的に飛距離伸ばすのは難しいと思います」。 男子プロの今平周吾や女子プロの古江彩佳、山下美夢有らが通常のショットでも短く握ることにも注目する。「ジュニアの頃からゴルフをやっているプロは、自分がどの長さで振ると当てやすいか、感覚的に分かっているのでわざわざ短く握っているのです。中島啓太プロが2023年に日本で賞金王を取ったときは44.75インチだったと聞きます。結局プロは一発の飛距離よりも安定して飛ばせる、振りやすい長さにしているということです」。 こんな話も教えてくれた。「あるメーカーによると、最近のアマチュアのニーズは飛距離と方向性だったら、方向性の方が高まっている、と」。ただ、ショップで並ぶのは長めのクラブが多い。「クラブを短くすることをネガティブに感じる人がいます。『短い=飛ばないクラブ』。そうしたイメージが市販のクラブの長さにつながっているのでしょう。やはり長いクラブは、背が高い人や手先を使わずにスイングできる人は合うと思いますが、日本人の一般的な体型なら45インチ程度が合うと思います。これからはドライバーの長さは抑える時代に入るんじゃないかと、私は思います」。 短尺化の流れが来ると推測するQP。今使っているドライバーに問題を感じなければ変える必要はないが、ミスが多いとか曲がるなどと感じるならシャフトを短くすることを試してみるのもいいだろう。 それでも、いきなりシャフトカットするのは勇気がいるもの。「例えば今使っているクラブが45.5インチなら、指2本分余らせて握ると45インチ相当になります。短く握って当てやすいと思ったら、長さは調整したほうがいいと思います。芯に当てることが大事ですので、短くなったら飛ばないかといったらそうでもありません。飛距離の最大値、一発の飛びを求めるのは厳しいかもしれませんが、当てやすさを重視することは大切な飛ばしの要素です」。 1インチは2.54センチ、0.75インチは約1.9センチ、0.5インチ約1.3センチ。このわずかな差でも、結果が大きく変わることもある。まずは短く握って振り感を試してみると、自分に合った長さが見つかりそうだ。 ■解説・関雅史 せき・まさし/QPさんの愛称でおなじみのティーチングプロ。最新のクラブ性能に詳しく、ギアの性能を生かすスイング指導も高く評価されている。自身のスタジオ「ゴルフフィールズ」でのフィッティングとレッスンは予約が取りづらいほど大人気。