皆吉愛寿香は30g台の『L』シャフトで10y以上飛距離アップ(撮影:米山聡明)
この夏は過去イチの飛距離を手に入れたい! アマチュアの永遠の願いを叶えるべく、ALBAでは『飛ばしフェス』を開催中。ツアーの現場から、女子プロの使用ドライバーを調査し、飛距離アップのコツをギアの面から探った。今回はシャフトのフレックス(硬さ)に注目した。
【写真】皆吉が使う『L』は見た目もカッコイイ
■皆吉愛寿香は『L』シャフトでしなりを感じて「タイミングが合う」「大東建託・いい部屋ネットレディス」で優勝争いを演じ、2位に入った皆吉愛寿香。昨年の下部ステップ・アップ・ツアーの年間ランキング2位の資格で今季前半戦の出場権を獲得したが、ここまでメルセデス・ランキング33位とシード圏内の戦いを続けている。今季の平均飛距離は238.24ヤード(57位)。昨季はレギュラー3試合の参考記録ながら226.90ヤードで、この1年で11.34ヤード伸ばした。今季のデータ掲載96人のなかでは、前年から最も飛距離アップした選手である。飛距離アップの秘訣を聞くと、「ドライバーのシャフトを替えたら10ヤード以上は伸びました」との回答。現在使用するのはピン『G440 LST』で、USTマミヤ『アッタス スピード F-1』だ。ツアープロが使うシャフトとしては、あまり聞き慣れないモデルだが、レディスやシニア向けに作られた軽量シャフト。重量は36グラム、フレックスは『R』より2段階軟らかい『L』相当。昨年まで使用していた他メーカーの『5R』から、「バックスイングが浅目で、シャフトが棒のように感じていました。しなる方がいいなと思って」とテストしてハマった。ヘッドスピード42m/sの皆吉にとって、軟らかすぎる印象も受けるが、実際には逆だった。「振ってみたらタイミングがめっちゃ合うんです。ヘッドスピードも上がりました。変につかまりすぎたり、(軽くて)当たり負けすることもないです。不思議と、振れば振るほど真っすぐ飛ぶんです」。レディスシャフトのしなりを使って飛距離を伸ばした。ちなみに、このシャフトを試すきっかけになったのは、270ヤード以上飛ばすアマチュアの後藤あいと同組で回った時に、同モデルのシャフトで気持ちよく飛ばす姿を見たから。ヘッドスピード46m/sの飛ばし屋も、しなりを最大限に生かしていたようだ。
■しなり派の永井花奈は「ハマった時に飛距離も精度もいい」国内女子ツアーでは50グラム台『S』の使用者が多い。レディス向けの軟らかいシャフトを使うのは稀(まれ)だが、「ミネベアミツミレディス」で9年ぶり2勝目を挙げた永井花奈もしなりを大切にしている。ドライバーはテーラーメイド『Qi4D LS』に、USTマミヤの新作『アッタスRX ピュアブルー 5R』の組み合わせ。クセのない全体しなりのモデルで、6月にシャフトを替えただけでボール初速が約1m/s上がったという。永井は「しなりを感じた方が、バランスよく振れますよね」と話す。「硬いシャフトの方が大曲りはしにくいけれど、軟らかいシャフトがハマった時は、飛距離もコントロール精度も良いように思います。以前は40グラム台のXを試しましたがが、当たり負けする感じがして、50グラム台のRがしっくりきます」。練習では、スイングを整える目的で、軟らかいシャフトを挿したアイアンを使用する。シャフトのしなり戻りを生かして、効率よく飛ばしていた。また、通算1勝の尾関彩美悠もしなりを生かすセッティングを選んだ。スリクソンの未発表モデル『ZXi RKT TR』を実戦投入し、4年ぶりにヘッドを変更。シャフトは三菱ケミカル『ディアマナ BB 53R』を使用している。以前はフレックスSRを使用していたが、「昨年の後半、気温が下がってきたときにちょっとハードだなと。Rにしてしなりを使って飛ばすようにしました。今は暖かいですが、少し短く持って硬さを感じて振っているので、Rのままです」とスペックを変えていない。ツアー2勝の山内日菜子は、RとSRを使い分ける。「しなりを感じた方がリズムよく振れます」と、季節によってしなりを感じられるスペックにしている。
■体が硬くなってもシャフトがしなればヘッドの運動量は増ギアに詳しいQPさんこと関雅史は、次のように解説する。「シャフトは軟らかくてしなった方が飛距離は出やすくなります。シャフトがしなる分、ヘッドの運動量が多くなるので、それをタイミングよく使えれば大きな力になります」。381ヤードを記録したこともある自身の経験を踏まえ、ドラコン競技に参加する選手は軟らかいシャフトを使用しているとも話す。ヘッドが動けば、体を大きく回しているのと同様の効果があるといい、「体が硬くなってトップが深く入らないという方は、シャフトのしなりを生かすのも手ですね」と、体が硬くなったらシャフトで補うこともできる。一方で、硬さについて間違った認識も指摘する。「『硬いシャフト=難しい』『軟らかいシャフト=やさしい』と考えている方も多いと思います。ヘッドスピードが遅い人は別ですが、方向性については硬いシャフトの方がやさしいのです」。理由をこう説明する。「ゴルフはヘッドの重心を感じて、ボールの重心に当てるスポーツ。必要以上にクラブが動くと、ボールに当てづらくなります。しなり戻りを生かせれば飛距離につながりますが、タイミングがズレると曲がる要素にもなるので、自分に合った適正なしなりが大切です」。上級者=硬いシャフトというイメージは根強いが、飛距離を求めるならしなり感が欠かせない。しなりを生かすためのコツも教えてくれた。「切り返しで急激に動いて打ち急ぎになると、クラブがどこかにいってしまいます。トップで一拍待ってから切り返すくらいの感覚を持つと、しなりを感じて振れるようになります」。トップで一瞬止まるくらいの意識で、打ち急ぐことなく効率よくシャフトをしならせられる。ドライバーのフレックスを“なんとなくS”で選んでいないだろうか。体が硬くなってきたと感じるならば、軟らかいシャフトで捻転不足を補うのもいい。力任せではなくリズムよく振ると、今よりも飛距離は伸びるかもしれない。■解説・関雅史せき・まさし/QPさんの愛称でおなじみのティーチングプロ。最新のクラブ性能に詳しく、ギアの性能をいかすスイング指導も高く評価されている。自身のスタジオ「ゴルフフィールズ」でのフィッティングとレッスンは予約が取りづらいほど大人気