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新たなスター誕生の予感…  PGAツアーがいま勢いづいている?

2026/08/03 12:00

新人ジャクソン・コイブンは新風を巻き起こせるか(撮影:GettyImages)

近年、PGAツアーが何より欲しているのは、突出したスターの誕生である。 【写真】ギャラリー熱狂! 桑木志帆がつかんだ歓喜の瞬間 かつては、アーノルド・パーマーやジャック・ニクラス、トム・ワトソンらが、そうした存在だった。1990年以降は、フィル・ミケルソン、そしてタイガー・ウッズが登場し、ゴルフ人気は最高潮に達した。しかし、ウッズは度重なる故障と手術、さらには交通事故や逮捕劇も続き、現役選手としては、フェードアウトしつつある。ミケルソンもLIVゴルフへ移籍後は表舞台からすっかり遠ざかり、つい最近はセクハラ騒動の渦中の人となるなど、もはやスターとは呼び難い状況にある。現在、世界ランキング1位の王座に君臨し続けているのはスコッティ・シェフラーだが、彼がかつてのウッズやミケルソンのような強いオーラを発しているかと言えば、残念ながら、そうは言い難い。シェフラーは間違いなく現在のゴルフ界の世界最強選手ではあるものの、ゴルフファンを熱狂させ、狂喜させるタイプではない。そんな現状下で、PGAツアーにデビューした米国出身の21歳の新人ジャクソン・コイブン(米国)が、プロ3試合目にして初優勝を挙げたことは、PGAツアーにとっても、ゴルフ界にとっても、待ちに待った朗報だった。コイブンは、ジュニアタイトルやアマチュアタイトルはもちろんのこと、オーバーン大学時代にもビッグタイトルを総なめにして、世界アマチュアランキング1位に昇りつめた。今年はアマチュアとして出場予定だった「全英オープン」を目前にして、「7月まで待てない」と言ってプロ転向を宣言。PGAツアー・ユニバーシティ・アクセルレイテッドによってPGAツアーにデビューした。プロ初戦の「ジョンディア・クラシック」こそ予選落ちを喫したが、2試合目の「イスコ選手権」では10位タイ、そしてプロ3試合目の「3Mオープン」では、シェフラーや松山英樹の猛追をかわして、あっさり初優勝。王者シェフラーも「とても新人とは思えない熟達したゴルフをしている」と舌を巻き、絶賛していた。そんなコイブンの堂々の戦いぶりと勝ちっぷりに、米国のゴルフファンも歓喜していた様子で、最終日のTV視聴者数は371万ビューで、ピーク時は487万ビューを記録した。これにより、今季のPGAツアーの平均視聴者数は、米CBS局がTV中継を開始して以来、この20年間で最高、昨年比では15%もアップしたという。初優勝を挙げ、表彰式を終え、誰もいなくなった試合会場の一角の池の淵に立ち、悠々と釣りをし始めたコイブンには、弱冠21歳の新人らしからぬ落ち着きと余裕が見て取れ、その姿は、1996年にデビュー5試合目で初優勝を挙げたウッズの姿と重なって見えた。とはいえ、コイブンの快進撃が今後も続くとは限らない。だが、ビッグスターとなる素養と可能性が彼に溢れ返っていることは間違いなく、そんなコイブンを得たPGAツアーは今、とても勢いづいている。その勢いのまま、ゴルフファンをさらに楽しませようということで、新たな試みも始まっている。先週のロケット・クラシックからは、ESPN+による「注目組」のストリーミング放送で、アナウンサーやゴルフ解説者による解説を一切入れない「マーキー・グループ(注目組)クワイエット・プリーズ」という新たなサービスを開始した。これは、時には耳障りにもなる解説をすべて廃し、その代わりに、選手やキャディの会話や芝を踏んで歩く音、ボールを捉える際の芝を切る音や打球音といったリアルな音や声を耳にすることができるというもので、まるで現地で観戦しているような臨場感を味わうことができそうである。ビッグなスターの誕生を切望する一方で、ゴルフファンのための小さな工夫も忘れない。そんなPGAツアーの姿勢は、今後、大きく実りそうな予感がする。(舩越園子/ゴルフジャーナリスト)