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女子プロも相次ぎ被害! 自動ブレーキ時代になぜ「信号待ちの追突事故」は無くならないのか?

2026/08/10 12:00

他車(他人)同士の信頼関係で成り立っているだけに、後方からの突然の追突には油断しがち ※写真はイメージです

自動ブレーキなど安全装備の充実が進んでいるのになくならない追突事故。とくに赤信号で止まっている際に後ろから突っ込まれるのは青天の霹靂でしかない。女子プロゴルファーの工藤遥加プロ、青木瀬令奈プロが大会直前に事故に遭ったのもニュースになった。安全装備が進化してもなお、なぜ減らないのか? 【画像】同伴者のスカートの中が見えそう!「こんなとき、どうする」 ■減ってはいるがなくならない日常的な事故工藤遥加プロ、青木瀬令奈プロともに遭ったのは追突事故。赤信号で停止していたところに、後ろから来たクルマに突っ込まれるという、昔からあるタイプの事故だ。これにより、工藤プロは病院で頚椎捻挫(けいついねんざ)、背部捻挫と診断され、試合を欠場。青木プロは出場したものの、第2ラウンドの後半に棄権した。事故にいい悪いはないが、特徴としては完全に停止していれば過失割合は10:0で、後続車が100%悪くなる。そもそもただ止まっていたのだから、過失もなにもないというのが実際のところだ。ちなみに少しでも動いていると過失割合は10:0ではなくなるので別の話になってしまう。単純な事故だけに、最新の技術で防げないのかと思ったりするわけで、実際に衝突被害軽減ブレーキというものが多くのクルマに装備されている。これはその名の通り、衝突しそうなときに自動でブレーキをかけてくれるというもので、テレビのCMでもよく目にするお馴染みの安全装備だ。まさに後ろからの追突事故を防ぐためのもののように思えるが、両女子プロのようにそれでも事故が発生するのはなぜか?■なぜなくならないのか? 多いのはスマホのながら運転まずは、そもそも衝突被害軽減ブレーキが付いていない場合で、事故の多発を受けて装着が義務化されたのは2021年11月以降に販売された新車から。つまりまだ約5年しか経っておらず、義務化前に装着していた車種があるとはいえ、すべてのクルマに付いているわけではないのが実際のところ。たとえば、記憶に新しい高齢者による池袋暴走事故では、母子が死亡するなど12人が死傷したが、加害者のクルマは未装備だった。もうひとつの原因が、付いていても作動しない場合で、最終的にはブレーキで止めるので、スピードが出ていたら物理的に止まれないのも当然。またブレーキを踏んでいると「運転手は止まろうとしている」と判断して作動しないこともある。そのほか、悪天候などではセンサー類が働かないこともあって、いずれにしても過信は禁物だ。追突する側もボーッとしていたなど単純な理由が多いが、最近拍車をかけているのがスマホのながら運転。実際のところ、スマホを見ながら運転しているクルマは珍しくないし、使っていれば認知や判断が遅れるのは当然のこと。警視庁のデータによれば、「携帯電話等使用による死亡・重傷事故の人的要因は、前方不注意が約9割を占め、携帯電話等を使用していない場合の約3.4倍高くなっています」とのこと。当たり前すぎる数字だが、わざわざ数字を出しているということはそれだけ深刻ということだ。ちなみにスマホのながら運転の罰則は「6か月以下の懲役または10万円以下の罰金、違反点数3点」。事故など危険な状態を引き起こしてしまうと「1年以下の懲役または30万円以下の罰金、違反点数6点」とかなり厳しくなっている。■後ろからの突然の追突でも対策はあるいくら罰則が重たくても、実際に被害に遭う側としてはたまったものではない。こちらに非はまったくないだけに難しい面もあるが、できる対策はいくつかあって完全回避は無理にしても、被害を軽減することはできる。まずは正しい運転姿勢を取ること。自動車のシートにはヘッドレストと呼ばれる部分が上部に付いていて、ここに後頭部を軽く付け、深く座ることで、いわゆるムチ打ちを防止することができる。なぜムチ打ちと呼ばれるかというと、ムチで打たれたように痛いからではなく、ぶつかった瞬間、体がムチのようにしなることからこの名称が付いている。だから首が痛くなったり、頚椎が損傷して、最悪の場合、後遺症が残ったりするわけだ。軽くでいいので、ヘッドレストに頭を付け、深く座ることで体のしなりを防止することができる。ちなみにシートベルトは前からの衝撃に対するもので、後方からの追突にはあまり関係ない。最近では衝撃吸収のヘッドレストも登場しているが、逆に未装着だった時代もあった。それが、ムチ打ち防止のために装着が義務化されたという、立派な安全装備である。そして意識も重要で、ただ漫然と信号が青に変わるのを待っているのではなく、定期的にミラーで後ろを見るようにすると、ブレーキをかけずに向かって来る後続車を発見しやすくなり、ぶつかってしまうにしても身構えることができ、被害を抑えられる。ボーッとしていると体の力は抜けている状態になり、そこに衝撃が加わるとダメージはさらに大きくなる。あとは暗くなってきたら早めにライトオンをするのも自車アピールとして重要だ。ただ残念なことに、停車車両側に後続車が近づいてきたら警告するシステムはない。似たようなものはあるが、走行中に後方からのあおり運転などをドライバーに警告するもので、停止車両に突っ込んで来るクルマを感知して教えてくれるシステムはないし、実際はギリギリまで止まるか止まらないのかわからないだけに難しい面もある。やはり信号待ちでも後方を意識しておくのが一番の方策だろう。■任意保険に入っていても示談交渉は不可?そして重要なことを最後に。事故の場合、保険を使用することになるのだが、過失割合が10:0となる場合、こちらの保険会社は示談交渉をしてくれない。というかできないのだ。また、加入が義務付けられている自賠責保険は対物には対応していないので完全ではない。示談交渉というのは代行サービスのひとつで、過失の割合を相手方の保険会社もしくは本人とやり取りして決めるものだが、10:0だとこちらの保険会社が示談交渉を行うことはできない。なぜかというと、弁護士以外が報酬を得る目的で法律事務を行うことを禁ずる「非弁行為」に当たるからだという。どういうことかというと、こちらにも過失がある場合は、こちらが契約している保険会社が相手方に賠償金を支払う可能性があるわけで、その保険会社の利害に関わってくる。このため、示談交渉ができることになる。一方、こちらに過失が無い場合は、保険会社は賠償金を支払ったりする必要はなく、簡単に言うと、保険会社にとってはまったく他人事。しかも代行サービスとなるとなおさらだ。このため、こうした場合に示談交渉を行うことは、弁護士以外が他人のために法律事務を行う非弁行為に当たるのだという。なんとも納得が行かない気もするが、とにかく法的にはこうなっているのだというから仕方がない。もちろん相手や相手方が契約している保険会社が支払ってくれれば問題はないが、そもそも先方の保険会社が支払ってくれても、古いクルマは現時点での価値しか認めてくれなくてもめたりもする。任意保険の加入率は共済も含めて現状で9割ほど。つまり10台に1台は未加入ということになって、素直に支払ってくれるかははなはだ疑問だ。いずれにしても自ら交渉するのは大変でもある。そこで自動車保険にプラスしておきたいのが、弁護士に示談交渉を依頼してその費用をカバーしてくれる弁護士特約だ。月数百円ほどで入れるため、クルマを利用する人は入っておくと安心だ。ちなみに無保険車傷害保険特約も有効に思えるが、死亡もしくは後遺症が残るケガでないと支払われないので、信号での追突では対応されない可能性がある。一見すると相手がすべて悪くて、結論はすんなり出ているように思えるが、意外にやっかいな後方からの追突事故。対応策も決め手に欠けるだけに、災難としかいいようがない事故だろう。(文・近藤暁史)近藤暁史学習院大学文学部国文学科卒。ファッション誌から一気に転身して、自動車専門誌の編集部へ。独立後は国内外の各媒体で編集・執筆、動画製作なども行う。新車、雑ネタを中心に、タイヤが付いているものならなんでも守備範囲。所有するのはクルマ3台、バイク4台で、計20輪生活を送る。自身のYouTubeチャンネル「こんどう自動車部」では、洗車・自動車のメンテナンスなどを中心に、クルマに関わる裏技を紹介している。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。