笑顔が魅力。男子ツアーに新たなウィナーが誕生した(撮影:ALBA)
<Shinhan Donghae Open 最終日◇13日◇ジャック・ニクラスGC(韓国)◇7502ヤード・パー72>28歳の砂川公佑が念願のツアー初優勝を飾った。2位に2打差をつけて迎えた最終18番(パー5)。4打目を50センチに寄せ、ウイニングパットを沈めると、右手で小さくガッツポーズ。うつむいた表情には、トレードマークでもある“笑顔”が浮かんでいた。
【写真】平均パット数上位はこんなパター使ってた!
自身にとって10カ月ぶりとなる優勝争いの舞台だった。昨年の最終戦となった「カシオワールドオープン」では、大岩龍一とのプレーオフに敗れ、苦い経験をしていた。今回は、そのリベンジもかかっていた。前日は「ついに来ましたね。優勝争いが…」とにっこり。「やっと楽しめる位置に来た。優勝争いの感覚を楽しむために練習しているので、あしたはしっかり楽しみたい」と、緊張感をにじませるよりも、期待に胸を膨らませていた。スタートホールには、大勢のギャラリーが集結。“楽しみたい”と言っていた砂川だったが、実際にティイングエリアに立つと「18ホールで自分の初優勝が決まるのかと思うと、すごいワクワクした反面、やっぱり、実際は緊張しました」と明かした。同組には、韓国ツアーのジェネシスポイントランキングで現在1位に立つチャン・ユビン(韓国)と、大阪学院大学の先輩でもある大堀裕次郎。地元ギャラリーが多く、ユビンへの声援が飛び交うなかでのラウンドとなった。それでも、ティショットを打つ前には笑顔を見せ、フェアウェイへ運ぶと、大きな拍手を浴びながらコースへ出た。そんな大盛り上がりのなか、ユビンが出だしから連続バーディを奪い、早くも砂川に並んだ。それでも焦りはなかった。「始まる前から本当に選手のことは気にせずに、終わった時点でしっかりスコア伸ばせたら、勝てると思っていたので気にはならなかったです」と、自身のプレーに集中していた。その言葉通り、続く3番から砂川が連続バーディを奪って差を広げる。その後はパーを並べ、大堀と首位に並んで後半へ突入した。10番では5メートルを沈め、さらに勝利につながる「キーポイント」になったと振り返る12番では10メートルを決めてバーディを奪取。「そこで余裕が生まれた」と振り返る。16番でボギーを喫したものの、2位に2打差をつけて最終18番(パー5)を迎えた。最終18番は、ギャラリーが1ホールを埋め尽くすほどの光景が広がった。グリーン周りのギャラリースタンドも満席。そのなかで放ったティショットに、前回のプレーオフとの「一番変化を感じた」という成長が表れた。「2打差のロングホールで(2位の大堀が)バーディと(砂川が)ボギーだったら並んでしまう。そこでティショットを打ちぬけた」そこから3打目はグリーン奥に外したものの、慌てることなくアプローチを寄せ、会場を大いに沸かせた。そして最後は50センチのウイニングパットを沈め、念願の初優勝をつかんだ。今回の優勝で、ポイントランキングは7位に浮上した。9月28日時点の上位6人には、日本で開催される米国男子ツアー「ベイカレントクラシック」(10月8~11日)への出場権が与えられる。もちろん、「絶対に出たいです」と意欲を見せた。残り2試合で、さらなる順位浮上を狙う。次戦は、「ゆかりのある」と話す北海道で開催される「ANAオープン」だ。「2週連続で優勝できるように。今週の芝と北海道の芝は同じような環境なのでいい感触で挑めると思います」と力を込めた。最終日に急きょ仕事を休み、韓国まで応援に駆けつけた妻・香里さんは北海道出身。さらに、砂川のスポンサーを務める方が、舞台となる札幌ゴルフ倶楽部輪厚コースで競技委員長を務めるという。「優勝カップをそのひとから受け取りたい」。そんな思い入れのある北海道の地で、今季2勝目を強く意気込んだ。2日目に8位に浮上し、3日目には単独首位に浮上。そして迎えた最終日。3日間の取材を通じて印象に残ったのは、優勝への思いを語る砂川の、とにかく前向きな姿勢だった。プレッシャーがかかる場面でも、ゴルフの戦いそのものを心から楽しむ。その姿勢を貫いた先に、待望のツアー初優勝があった。また一人、注目の“新星”が誕生した。(文・高木彩音)