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米国生活はトラブル続きも…いつも笑い話に 「もう限界かも」から発揮した西村優菜の“土壇場力”

2026/09/29 08:01

西村優菜にとって苦難の2年間は、アーカンソーの地で笑顔に変わった。(撮影:GettyImages)

米ツアーの会場で西村優菜、そして帯同する西村の母・枝里子さんと顔を合わせると、必ず聞くことがある。『今週の家はトラブルは起こってないですか?』。なぜか西村家が泊まるところには、なにかしらの“不調”があることが多く、そのためこの質問が挨拶がわりになっている。 【写真】19歳の西村優菜、ここからプロゴルファー人生が始まった 「シャワーが水しか出ないの~」。この手の“水回りのトラブル”は序の口。ある年の西村の誕生日には、母が娘のためにステーキを焼こうとしたが、火力が異常に弱く、焼きあがるまでにかなりの時間を要したという話もあった。また、アリが部屋に大量発生するという“恐怖体験”も。「最初は優菜も嫌がってたけど、人間、慣れるもので、日が経つにつれガムテープとか使って駆除してたの~」と話す枝里子さんと笑い合うこともあった。ただ、ここ2年間は、そんなしんどい状況を上回る負荷を、コース内で感じていたかもしれない。日本ツアーで通算6勝(メジャー1勝)を挙げた西村が、主戦場を米国に移す決断をしたのは2022年のこと。その年の予選会で24位になりツアーカードを手にすると、米参戦1年目の23年はポイントランク48位、24年は同69位で、翌年の通年出場権が得られる『カテゴリー1』入りを果たした。だが、25年はドライバー不振に陥り、同115位と低迷。この年は3年ぶりに年末の予選会に回り、ボーダーギリギリの24位タイでなんとか優先出場順位を上げて臨んだのが今年のシーズンだった。「ここ2年は自分の強みのショットで悩んで、もう無理かもって何回も思いました。今年は1打落ちとかも多くて、もう限界かもって。気合でゴルフをするタイプなのに、モチベーションがうまく保てず…。ショップライト前(5月のショップライトLPGA)くらいでしたかね、もう行かないでおこうかなって思ったくらい、いろいろ考えた2シーズンでした」米初優勝を挙げた「ウォルマートNWアーカンソー選手権」後には声を詰まらせ、苦悩を思い返すシーンもあった。それだけ今年も苦難の連続だった。同大会前までの15試合で予選通過は6試合(ペア戦を含む)。ポイントランクも103位に沈んでいたが、そこから這い上がった。この優勝でポイントランクは36位まで急浮上。ランク上位80位までの選手が入るカテゴリー1入りはもちろん、シーズン最終戦の「CMEグループ・ツアー選手権」に出場できる同60位のラインも越えた。ツアーメンバーとして優勝した権利で、27、28年の出場資格も確定。状況は180度変化した。思い返すと、昨年末の米予選会も土壇場で踏みとどまり、乗り越えたものだ。パー以上なら通過、ボギーなら圏外に陥落という状況で迎えた最終日の最終9番。曲がったティショットが右の木の真後ろへ落ちる絶体絶命のピンチが訪れた。ただ2打目をなんとかグリーン右横まで運ぶと、急な傾斜下からパターで寄せたアプローチを80センチに寄せて、パーを死守。ホールアウト直後は大粒の涙を流し、「心臓が3つあっても足りないです」と話していた姿は印象に残っている。もちろん、こんな背水の陣はもう避けたいところだろうが、ここぞで逆境を跳ね返してきた米ツアー生活で強さも増した。会場で披露される家のトラブルは、いつも最後は笑い話に昇華されていた。米初優勝は2位に5打差をつける圧勝。苦しんだ2年間は長く、つらいものだったが、これもアーカンソーの地で晴れやかな笑顔に変わった。(文・間宮輝憲)